抄録
北海道苫小牧市の近接した軟弱地盤の2地点において, 液状化対策の効果, 軟弱な表層地盤の増幅特性などを評価するために, 1990年以来, 間隙水圧記録を含むいわゆる液状化アレー観測を実施している. この観測網において1993年釧路沖地震などいくつかの地震動記録が得られた. ここでは, 観測システムについて示すとともに, 地震動記録の方位補正を実施し, 方位が-9~+64度ずれていることを明らかにした. また, 2地点の液状化アレー観測記録を分析し, S波速度400m/s程度の層での地中加速度が10cm/s2程度から表層地盤の非線形性が現れること, 過剰間隙水圧の残留成分は地表加速度が20cm/s2で生じはじめ, 100cm/s2以上で急増することを明らかにした.