土木学会論文集
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2002 巻, 703 号
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  • 一井 康二, 井合 進, 佐藤 幸博, 劉 漢龍
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 1-11
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    重力式岸壁の簡易的な耐震性能の評価手法を検討するため, 設計震度および地盤の液状化強度をパラメータとして, 有効応力法による有限要素解析プログラムを用いて, 200ケースを越えるパラメトリックスタディを行った. パラメトリックスタディの結果, 岸壁の変位量には岸壁直下及び背後地盤の条件が最も影響を与えることが明らかになった. パラメトリックスタディの結果をもとに, 重力式岸壁の変位量のレベルを推定する簡易的な耐震性能照査手法を提案した. また, 被災事例のデータをもとに提案手法の適用性を検討し, 数十cmから数m程度の幅広い変位レベルに対し一定の適用性を供えていることを確認した.
  • 堀地 紀行, 保坂 鐵矢, 依田 照彦, 勝尾 伸一
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 13-27
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, コンクリートを充填した円形鋼管で構成されたラーメン隅角部の静的耐荷力特性を載荷実験, およびFEM解析にて確認し, それによって得られた知見を述べたものである. 載荷実験では, コンクリートを充填しない供試体1体と充填した供試体3体を製作し実験を実施した. また, FEM解析では, 載荷実験のモデルを含め計6モデルについて解析した. 円形鋼管にコンクリートを充填した際の耐荷力の増分は, 補剛材の有無, 位置に大きく依存せず, おおむね一定の値を示した. また, はり・柱部にコンクリート充填円形鋼管を用いたモデルは, コンクリート未充填型モデルや, はり部に充填角形鋼管を適用したモデルと比較し, ほぼ2倍程度のじん性率を示した.
  • 井上 幸一, 杉本 博之, 森下 邦宏, 山本 利弘, 古川 浩平
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 29-38
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    既設斜張橋の大地震対策を考えた場合, 特に1本柱形式の塔に関しては橋軸直角方向の地震に対する応答が問題となることが多い. しかし, 塔の断面補強や制振, 免震などの対策は実施工上大きな困難を伴うことが予想される. そこで, 本研究ではケーブルとの連成により塔の地震応答が大きく変化し得る点に着目し, ケーブルへの質量付加によりその振動数を変化させることで塔の地震応答を制御する方法について検討した. 最適化手法を用いてモデルとした斜張橋の各ケーブルへの合理的な質量配分を決定した結果, 橋軸直角方向地震に対する塔の応答を無対策の場合の最大約1/3に低減でき, 大地震対策として有効であることが確認できた.
  • 伊藤 義人, 輪崎 博司, 石山 隆弘
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 39-51
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年のインターネット環境の発展により, 研究や実験に関するデータベースのインターネット上での公開が進んでいる. これまでに開発された鋼構造実験に関するデータベースは, 実験情報をデータベースの管理者が収集する必要があり, 幅広く, かつ継続的にデータの提供を受けることは困難であった. そこで本研究では, 研究者自らがデータの公開を行うことができ, また, 利用者は情報を統一的に利用できるような分散・強調型データベースシステムの開発を行った. 開発には, Web 上でのデータ交換の際の標準として注目されているXMLを用い, 情報を総合的に取り扱うことができ, 将来的にも拡張可能なデータベースシステムを構築することができた.
  • 大島 俊之, 三上 修一, 丹波 郁恵, 佐々木 聡, 池田 憲二
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 53-65
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は橋梁全体の資産価値を評価するため, まず橋梁各部材の資産的評価を計算する手法を検討した. これまでの多くの橋梁の施工実績経費から橋梁各部材の単価的な建設必要経費を算出するとともに, 橋梁全体の初期建設費としての資産価値を評価できる手法を検討した. また橋梁点検要領による点検結果のランクを損傷係数として用いて現存する橋梁の現在の残存資産価値を算出した. これらの残存資産価値と初期建設費との比を橋梁健全度指数 (BHI) と呼び, 現存する橋梁の劣化を考慮した健全度をあらわす指標とした. またこれらの健全度指数についての解析結果を著者らが前論文において解析した橋梁総合健全度に関する解析結果と比較検討して, 橋梁健全度指数 (BHI) の有効性について検討した.
  • 大久保 禎二, 田中 賢太, 渡邊 誠晶, 好竹 亮介
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 67-82
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 免震支承を有する橋梁システムが大規模地震を受け非線形動的挙動状態にある場合の, 支承, 橋脚, 基礎構造の最大応答水平変位に関する制約条件のもとで, 建設費を最小にする各構造要素の最適な断面諸元を論理的に正確に, かつ効率的に決定できる最適設計法を提案している. 各橋脚の免震支承, 橋脚, 基礎構造の非線形動的特性を代表する特性値を設計変数として考慮し, 変位着目点の最大応答水平変位の設計変数に関する推定式を実験計画法により効率的に導入し, これらを用いて定式化した最適設計問題を凸近似双対法を用いて解き, 各設計変数および各構造要素の断面諸元の最適値を決定している. 5径間連続桁橋の最適設計例を示し, 本研究で提案した最適設計法の信頼性および効率性を明らかにしている.
  • 藤原 豪紀, 中山 隆弘
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 83-95
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震動のフーリエ解析では, 解析信号を用いて時間領域で振幅と位相を定義し, 時間・周波数両領域における位相と地震動の非定常性との関係が明らかにされている. 本研究では, 地震動の非定常スペクトルと時間に依存する位相 (時間位相) を解析信号によって表現し, 非定常スペクトルと時間位相を考慮した地震動のシミュレーションにおける時間位相と地震動の非定常性との関わりをフーリエ解析埋論に基づいて考察した. さらに観測波の非定常スペクトルや時間位相を原モデルとして作成した一群の模擬地震動の群遅延時間や弾塑性応答の特性を具体的に調べた. 同様の検討を, 非定常スペクトルと一様乱数を用いて作成した模擬地震動に対しても行い, 二つの方法による模擬地震動の非定常性の違いを明らかにした.
  • 川島 一彦, 細入 圭介
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 97-111
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来の震度法で設計された, 直接基礎は兵庫県南部地震の際のような強震動を受けた場合には, フーチングの浮き上がりが大きく生じる可能性がある. 本研究は, 震度法で設計された一般的な直接基礎によって支持された橋の地震応答を非線形動的解析によって解明したものである. この結果, 兵庫県南部地震による地震記録を作用させると, 設計水平震度0.2で設計された直接基礎は端部で0.1~0.2m程度浮き上がる可能性があること, フーチングのロッキング振動は橋脚の塑性応答に対して一種の免震効果として機能することを明らかにした.
  • 川島 一彦, 永井 政伸
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 113-128
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉄筋コンクリート橋脚では変形性能の向上が重要であるが, いかに塑性ヒンジ区間で横拘束を高めてもコアコンクリートが損傷すれば地震後に大規模な復旧は避けられない. 本研究は, 塑性ヒンジ領域におけるコンクリートをゴム等の塑性変形の繰り返しに耐える材料で代替することにより, ドリフトで4%程度の変形に追従でき, かつコアコンクリートに大きな損傷を受けない新型橋脚を提案し, この実現性を繰り返し載荷実験, ファイバー要素解析から検討するものである. この結果, ゴム層の上下に鋼板を加硫接着し, これを橋脚躯体及びフーチングにアンカー筋で定着することによって開発目標を達成できる可能性があることを明らかにした.
  • 葛西 昭, 渡辺 智彦, 宇佐美 勉, Praween CHUSILP
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 129-140
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 鋼製ラーメン橋脚における隅角部や梁腹板といったせん断力が卓越する部材の耐震設計に対して, 基礎的なデータを提供するものである. 無補剛箱形断面を有する梁を想定し, ウェブおよびフランジを含めた解析モデルにより, 繰り返しせん断力を受ける際の強度と変形能を求めた. 結果として, フランジ部分を考慮することによって, ウェブのみを対象とした板要素による評価に比べて, 変形能が大きくなるという結論を得た. また, フランジとウェブの板厚比に着目した検討より, 強度および変形能の観点から, フランジの必要板厚を求めた. 最後に, 一般的なフランジとウェブの板厚比に対して, 強度と変形能の推定式を算出した.
  • 頭井 洋, 濱崎 義弘, 波田 凱夫
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 141-149
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    長さに比べ径が大きいケーブルの張力計測を振動法により行う場合, ケーブル曲げ剛性のわずかな見積もり誤差が張力計測に大きな精度低下をもたらす. そのような場合の張力と曲げ剛性の同定に, 拡張カルマンフィルターによる張力同定法を応用した. 現場で容易に加振できる方法として打撃加振と取り付け型加振装置の2種を用いた. 取り付け型の加振装置では, ケーブルの質量に比べ加振装置の質量を無視しえない場合もあることから, 新たに任意位置に付加質量を有するケーブルの固有振動数を求める振動数方程式を導き, 拡張カルマンフィルターに組み込んだ. 径0.0287m, 長さ1.990mのより線ケーブルに対し打撃加振と取り付け型の加振装置の2種の加振方法を用いて加振実験を行い, 低張力領域でも曲げ剛性と張力を精度よく同定できることを示した.
  • 高山 智宏, 村田 清満, 池田 学, 木下 雅敬
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 151-163
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市部において鉄道高架橋を建設する場合, 空間的, 時間的な制約が多く, このため施工の安全性の向上, および急速施工が求められる. また, 近年の構造物に対しては, 高い耐震性を有することも要求されている. 筆者らは, コンクリート充填鋼管を柱部材に, 鉄骨鉄筋コンクリートを梁部材とする複合構造の鉄道ラーメン高架橋を対象に, 構造物の構成要素である部材の耐荷性能の評価法をすでに提案した. 一方, 土木分野においては, コンクリート充填鋼管を柱部材に用いた場合の接合部に関する検討例は少なく, 設計法も十分に明らかにされていないのが現状である. 本論文は, 筆者らが考案した鉄骨鉄筋差込み接合を対象に, 耐荷性能を模型試験により検討し, 接合部の設計法を提案するものである.
  • 深和 岳人, 香月 智, 石川 信隆, 山田 正
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 165-176
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, オープン型鋼製砂防ダムの鋼管間隔によって土石流中の礫をどのように捕捉するかについて, 個別要素法による数値シミュレーション解析を行うとともに, 確率的推定法の適用を試みたものである. すなわち, まず個別要素法によって土石流中の巨礫群の流れとオープン型砂防ダムによる閉塞シミュレーション法を提案した. 続いて, 待ち行列理論を応用して土石流中の巨礫群の礫径分布と砂防ダムの鋼管間隔比によって通過量期待値を求める方法を提案し, シミュレーション結果との整合性を調べた. その結果, 2個要素による閉塞モデルにおける通過確率期待値がシミュレーションとよく一致することを示した.
  • 森河 久, 下里 哲弘, 三木 千壽, 市川 篤司
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 177-183
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鋼製橋脚の隅角部に発見された疲労き裂について, 溶接部の溶け込み状況, 活荷重応力から検討した. この隅角部に発生する応力は, 設計で想定していたそれよりはるかに大きいことと, K開先溶接のルート部に大きな溶け込み不足が存在することが, 疲労き裂の原因である. 応急対策として, ボルト添接が行われた. その結果, 活荷重応力は50%程度になり, 当分の間は安全に使用できる. しかし, 恒久対策としてこの疲労き裂を除去する必要があり, その方法は今後の課題である.
  • 松本 泰尚, Michael J. GRIFFIN
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 185-201
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    鉛直全身振動暴露時の人体の動的応答特性の解明のため, 被験者を用いた振動実験及び人体動的応答のモデル化を行った. 駆動面で測定した立位及び座位における人体の動質量は, 振動数5~6Hzで最も顕著な共振特性を示した. この主共振振動数域において, 特に腰椎部で脊柱の曲げ振動が発生していることを, 駆動面から身体部位への振動伝達率の測定結果から明らかにした. 立位の場合は腰椎部で軸方向の変形も顕著であったのに対し, 座位の場合は脊柱の軸方向変形はほとんど見られなかった. モデルによる主共振発生メカニズムに関する検討の結果, 立位・座位ともに腹部内臓の鉛直運動の寄与が大きく, 座位の場合は臀部及び大腿部の鉛直方向の変形も動質量主共振の主な要因であることが認められた.
  • 望月 智也, 中村 孝明, 木村 正彦, 星谷 勝
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 203-210
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    保険による損失移転の範囲は免責と支払い限度により設定されることが一般的である. 本論文は, 被保険者にとって最適な地震保険の評価方法を示した. この方法は, 地震損失の確率関数を評価することで, 免責と支払い限度にもとづく被保険者および保険会社の損失を定量的に示すことができる. また, 評価方法は, 損失に対する主観金額を考慮することで, 被保険者が許容できる保険料の条件を示すことができ, その条件で損失が最小となる免責および支払い限度を評価するものである. 適用性の検討と地震保険の効果は, 事務所ビルを対象とした数値解析により示した.
  • 金 仁泰, 新海 英昌, 山田 健太郎, 近藤 明雅
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 211-219
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 連続未溶着部をもつ突合せ溶接継手の疲労試験を行い, 直応力とせん断応力の組合せ応力下における疲労き裂の発生・進展挙動および疲労寿命の違いを検討した. 未溶着部は, 単軸の繰り返し応力に対して垂直な場合 (α=0°) に加え, α=15°, 30°, 45°の4種類であり, 目標ギャップサイズは0mm, 1.5mmの2種類とした. 疲労き裂の発生・進展挙動および疲労寿命は, 斜めの角度αおよび応力範囲により異なった. 疲労き裂は未溶着先端部から分岐し作用応力の垂直方向に, あるいはその延長面上に発生・進展する2種類であった. のど断面応力で整理した疲労寿命は, α=0°, 15°, 30°ではほぼ同程度であり, 45°は長寿命側になった.
  • 川島 一彦, 植原 健治, 庄司 学, 星恵 津子
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 221-236
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 模型振動実験によって桁間衝突や圧縮側緩衝装置, 桁間連結装置の影響を含んだ実験データを提供すると同時に, これを動的解析によって再現し解析精度の検討を行った. 本文に示した実験および解析結果から, 模型橋の固有振動特性と減衰特性, 圧縮および引張側の緩衝装置の剛性が正しく推定されていれば, 衝突ばねを用いて桁間衝突の影響や桁間連結装置を含む模型橋の地震応答特性を工学的に十分な精度で推定できることがわかった.
  • 荘司 雄一, 神山 眞
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 237-253
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    仙台市圏で展開しているアレー観測システム Small-Titan の観測記録を用いて震源特性, 伝播経路特性, ローカルサイト特性の分離を試みる. 一般化逆解析手法 (インバージョン) と他の評価手法との比較を行う. インバージョンが, ローカルサイト特性を評価するための有効な手法であることを述べる. リファレンスサイトの重要性を示し, リファレンスサイトに対する依存度について考察する. インバージョンによる増幅スペクトルと常時微動のH/Vスペクトルは, 比較的高い相関を与えていることを示す. インバージョンから得られた震源特性と伝播経路特性が, 既往の研究と調和的であることを述べ, ローカルサイト特性を含めたインバージョンの妥当性を検証している.
  • 大倉 一郎, 萩澤 亘保, 鳴尾 亮, 戸田 均
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 255-266
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    アルミニウム中空押出形材を摩擦攪拌接合で接合することによりアルミニウム床版を製作した. 本研究の目的は, このアルミニウム床版の疲労特性を明らかにすることである. 最初に床版に用いたアルミニウム押出形材の母材と摩擦攪拌接合部の材料特性を調べる. 次にアルミニウム床版の疲労試験を行い, 上板の局部変形によって起こされる板曲げ応力によって, 上板の荷重直下の摩擦攪拌接合の接合線に沿って疲労亀裂が発生することを示す. さらに梁タイプの試験体の疲労試験を行い, 床版の支持間隔が大きくなった場合には, 曲げモーメントに起因して下板に生じる膜応力によって, 下板の摩擦攪拌接合の接合線に直角な方向に疲労亀裂が発生することを示す.
  • 三冨 創, 松岡 昌志, 山崎 文雄
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 267-278
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1999年トルコ・コジャエリ地震, 1999年台湾・集集地震, 2001年インド・グジャラート地震の後に撮影された空撮映像の静止画像を用いて建物被害地域の自動抽出を試みた. 本研究で適用するマルチレベルスライス法は倒壊建物を色相, 彩度, 明度, エッジ強度, エッジ強度の分散, エッジ方向の最頻度で特徴づけて閾値を設定し, これらの閾値の全てを満たす画素を被害建物とみなすものである. その後テクスチャ解析を行い, 建物被害の表現を画素レベルから建物1棟レベルに変換した. 建物被害の特徴はそれぞれの地震災害によって異なることから, 他の地震災害画像によって設定された閾値を用いるよりも, 対象とする地震災害ごとに閾値を設定した方が実際の建物被害分布に近い結果が得られることがわかった.
  • 平城 弘一, 松井 繁之, 佐藤 崇, Abubaker AL-SAKKAF, 石崎 茂, 石原 靖弘
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 279-291
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    異種材料から構成される複合構造形式の接合部には頭付きスタッド (以下, スタッドと称す) が使用されることが多い. その際, スタッドは有限な領域で配置されるため, 個々のスタッドはコンクリート縁からの距離が異なり, それら一群のスタッドに同一の変位 (ずれ・浮き上がり) を与えても, 同一の引抜きおよびせん断耐荷力を示さないことが予想される. そこで本論文では, 既往の研究の試験データと引抜きおよびせん断耐力評価式を再評価して, 縁端距離を考慮しない場合の強度評価式について定式化した. 次いで, 縁端距離を考慮すべき試験データに対しても, スタッドの耐力低下に及ぼす影響因子を明らかにし, 新しい縁端距離パラメータを導入したスタッドの引抜きおよびせん断強度評価式にっいても定式化した。
  • 加藤 久人, 川畑 篤敬, 西村 宣男
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 293-300
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    従来, 深い渓谷を渡る手段として施工性, 経済性に優れたPC箱桁橋が採用されてきた. この発展型として, より厳しい工費節減, 省力化, 工期短縮への要求に答えるべく, 波形鋼板ウェブ橋の採用が盛んになってきた. 波形ウェブ鋼板は支間方向の剛性が小さく, せん断変形の影響が強く現われるため, その挙動が複雑であることが既往の実験, FEM解析により確認されている. 本論文ではせん断変形を考慮したはりの曲げ理論を拡張し, この様な性状を解明する簡便な拡張はり理論式を誘導するとともに, より合理的な実設計を行いたいという実務者からの要請に応えるために, パラメトリックに構造諸元を変化させ, 一般化した実構造におけるせん断変形の影響度を明らかにする.
  • 尾下 里治
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 301-311
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    下路式補剛アーチ橋においては, 補剛桁の伸び変形にともなう床組や横構との協同作用の影響が無視できない. 最近の設計においては, 床組も含めた立体骨組解析を行ったり, 補剛桁と床組とを取り出した平面骨組構造を解析することによって, こうした協同作用の影響を考慮しているが, 明確な設計方針は確立されていない. 本研究では, 実橋モデルの立体解析を行い, 実際の付加応力度の状態を把握するとともに, 協同作用の影響を定性的に把握するための簡易計算式を考案し, 床組の剛性と付加応力度との関係を明らかにした. この結果, 従来から言われている「柔設計法」よりも, 端横桁を箱桁として水平曲げに耐えるようにするのが望ましいことを示した.
  • 劉 玉〓, 彦坂 煕
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 313-325
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリート充填鋼管を主構とするアーチ橋を対象として, まず鋼管の拘束による充填コンクリートの圧縮強度と変形能力の向上, 充填コンクリートによる鋼管の引張降伏強度上昇と圧縮降伏強度低下を考慮する, コンクリート充填鋼管の非線形特性評価法を提示した. 次いで試設計した中路式ブレーストリブアーチ橋の3次元骨組解析に基づき, コンクリート充填工法の違いによる鋼管アーチリブの死荷重応力の変化を明らかにし, 設計荷重に対するアーチリブの許容応力照査と終局強度照査を行うとともに, 標準波形地震動を橋軸方向および直角方向に作用させる場合の非線形地震時挙動を考察した.
  • 西川 純一, 林 宏親, 江川 拓也, 三輪 滋, 池田 隆明, 森 伸一郎
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 327-343
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    北海道苫小牧市の近接した軟弱地盤の2地点において, 液状化対策の効果, 軟弱な表層地盤の増幅特性などを評価するために, 1990年以来, 間隙水圧記録を含むいわゆる液状化アレー観測を実施している. この観測網において1993年釧路沖地震などいくつかの地震動記録が得られた. ここでは, 観測システムについて示すとともに, 地震動記録の方位補正を実施し, 方位が-9~+64度ずれていることを明らかにした. また, 2地点の液状化アレー観測記録を分析し, S波速度400m/s程度の層での地中加速度が10cm/s2程度から表層地盤の非線形性が現れること, 過剰間隙水圧の残留成分は地表加速度が20cm/s2で生じはじめ, 100cm/s2以上で急増することを明らかにした.
  • 森地 重暉, 鴫原 良典, 今村 芳徳, 梅田 裕介
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 345-350
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    地震時に生ずる地表面での地盤ひずみと地盤粒子速度との関連について実測記録を基に調査した. ひずみ振幅と速度振幅の関係を見出すには, 観測資料の蓄積を必要とする. 双方の時刻歴の関連について調べるために, 2ヶのひずみ不変量の各々と3成分合成速度の時間変動を1/100秒毎に比較検討した. ひずみ不変量の絶対値が時刻歴で極大のとき, 地盤の正弦振動状態では合成速度は極小となり, また正弦波動伝播状態では極大を示す. 本解析では, 継続時間内で約半数の時刻で振動状態を, 残りの時刻で波動状態を示すこととなり, 双方の時刻歴間の明瞭な関係は得られなかった.
  • 池内 智行, 盛川 仁, 松井 勲
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 351-356
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    曲線橋のような複雑な構造物では地震応答が最もクリティカルとなる入力方向が自明でない. そのような場合, 現在の耐震設計においては地震波の様々な入力方向に対して, 各々, 時刻歴応答解析を繰り返し行うことにより最大の部材力あるいは応答変位が発生する入力方向を探索する手法が採用されている. 一方で岡野は鉛直アレー観測によって得られた異なる深度での地震動記録のコヒーレンスを用いて, 地盤の強, 弱軸方向が推定可能であることを示している. 本研究では岡野の手法に改良を加え, 曲線橋の地震応答卓越方向の推定に適用する. また, 2つの曲線橋モデルに対して提案手法を用いて応答卓越方向の推定を行い, 推定の精度を確認した.
  • 平野 廣和, 黒田 眞一
    2002 年 2002 巻 703 号 p. 357-361
    発行日: 2002/04/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 2002 巻 703 号 p. e1
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
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