抄録
ヘドニック・アプローチをはじめとする地価分析においてはヘドニック関数についての理論的制約は設けられておらず, 分析に用いる関数の恣意性の問題やパラメータの時間的不安定性などの問題は常に存在している. 本研究では, 理論的背景のある地価形成モデルの構築に向けた基礎分析として, データの統計的性質に着目し, 対数正規分布に従う地価データの順位規模分布が指数関数で近似できる現象を理論的に明らかにした. 次に, 順位規模分布の曲線形状の時間的な変化が期待的な要因に伴う地価のバブル的な変動を比較的よく表していることを, 経済指標を用いた統計分析と収益還元地価のモデルを用いた検証から明らかにした. 分析から得られた知見をもとに汎用性のある地価モデル構築の可能性と方向性を考察した.