抄録
砂地盤に溶液型の薬液を浸透注入した場合, 注入点からの距離が大きくなるに従い, 固化強度が低下する現象が認められている. この強度低下の原因の一つとして間隙に充填される薬液の希釈現象が考えられる. 本論文では, 薬液注入時の薬液濃度の希釈現象について移流分散理論によるモデル化を行っている. 検討項目として一次元モデル地盤を用いた薬液注入実験による移流分散理論の検証, 薬液注入工事の移流分散現象によるモデル化, 現地実験によるモデルの検証を取り上げた. この結果, 現地実験で測定された溶液型薬液注入時の分散係数は, 室内における一次元の浸透実験の結果に比べ大きいが, 薬液濃度の希釈現象は提案したモデルで説明されることが分かった.