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親泊 正孝, 善 功企
2004 年2004 巻771 号 p.
1-10
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
沖縄のいわゆる“サンゴ礫混じり土”は, その多様性のため強度評価上の区分が難しく, より合理的な区分方法の確立が長年の課題であった. この課題を解決するため, 土の排水特性に着目して検討を行った. 本土の一般の土では, 細粒分の50%が粘性士と中間土との境界となっているが, 沖縄のサンゴ礫混じり土ではそのような境界が適切と考えられない場合が多い. そこで, 本論文では, 中城湾港, 那覇港, 平良港, 石垣港のサンゴ礫混じり土について調べた結果, 細粒分が, それぞれ70, 80, 75, 80%以上で, かつ塑性指数が, それぞれ35, 20, 20, 20以上の場合に粘性土に区分できることが明らかになった. これらの結果ならびに既往の研究成果をもとに, サンゴ礫混じり土を強度評価上の観点から, 砂質土, 中間土, 粘性土に区分する方法を提示した.
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林 健太郎, 善 功企, 山崎 浩之
2004 年2004 巻771 号 p.
11-20
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
砂地盤に溶液型の薬液を浸透注入した場合, 注入点からの距離が大きくなるに従い, 固化強度が低下する現象が認められている. この強度低下の原因の一つとして間隙に充填される薬液の希釈現象が考えられる. 本論文では, 薬液注入時の薬液濃度の希釈現象について移流分散理論によるモデル化を行っている. 検討項目として一次元モデル地盤を用いた薬液注入実験による移流分散理論の検証, 薬液注入工事の移流分散現象によるモデル化, 現地実験によるモデルの検証を取り上げた. この結果, 現地実験で測定された溶液型薬液注入時の分散係数は, 室内における一次元の浸透実験の結果に比べ大きいが, 薬液濃度の希釈現象は提案したモデルで説明されることが分かった.
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操上 広志, 千々松 正和, 小峯 秀雄, 小林 晃, 大西 有三
2004 年2004 巻771 号 p.
21-31
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
高レベル放射性廃棄物の地層処分において, 人工バリアの再冠水過程における緩衝材の膨潤応力の評価は, 人工バリア設置直後の緩衝材ブロック間の隙間やブロックと周辺岩盤の間の隙間の封鎖のために非常に重要である. 本論文では, 緩衝材の膨潤特性を理論的に算定できる膨潤評価式を不飽和領域に拡張した新しいモデルを提案し, 既往の熱-水-応力連成モデルに導入することで, より信頼性のある再冠水過程の連成モデルを構築する. 室内の膨潤試験による検証の後, 提案したモデルを釜石鉱山における熱負荷試験に適用し, その有用性を示した. この研究により, 膨潤応力を管理するために, 飽和度が指標となりうることがわかった.
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大川 賢紀, 亀井 宏之, 張 鋒, 木村 亮
2004 年2004 巻771 号 p.
33-49
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
著者らは海上橋基礎への斜杭群杭基礎の適用を想定し, 今までに動的遠心模型実験により直杭のみからなる群杭基礎と比較して斜杭を有する群杭基礎の動的挙動を把握している. 本論文では, それらの群杭基礎の動的遠心模型実験のプロトタイプを対象として, 3次元静的・動的弾塑性有限要素解析コードDGPILE-3Dを用いた地盤・杭基礎・上部構造一体系の動的解析を行い, 同手法の妥当性を検証するとともに, 杭の変形や断面力の評価において, 従来手法である分離法や応答変位法に対する有効性を示した. さらに, 一体系動的解析により, 杭間隔や杭の傾斜角が群杭の動的挙動に与える影響を詳細に調査した.
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日外 勝仁, 齋藤 敏明, 伊東 佳彦, 橋本 祥司
2004 年2004 巻771 号 p.
51-60
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
近年, 岩盤斜面を適切かつ簡易に評価する手法の開発が急務となっている. 著者らの研究では, 数量化理論II類 (QT2) を用いたエキスパートシステムを構築し, 斜面の安定度に関与する因子の抽出ならびにその影響度の検討を行ってきた. 本論文では, 北海道日本海沿岸地域において, 数量化理論II類分析および自己組織化マップ (SOM) を用いた岩盤斜面評価システムを検討した. 自己組織化マップでは, 斜面データを2次元マップ上に分類し, 視覚的な特性把握および特異サンプルの検出を行う. また, 数量化理論II類解析では, 斜面の安定度に関与する因子の抽出ならびにその影響度の検討を行った. これら2種類の分析を組み合わせることにより, 岩盤斜面の危険度評価分析の信頼度向上を検証した.
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前川 晴義, 亀井 健史, 高橋 丈夫, 松田 哲夫, 和泉 聡
2004 年2004 巻771 号 p.
61-70
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
泥岩岩砕を盛土材料として利用する場合は, 締固め状態やその後の環境条件を考慮に入れた評価が重要になる. 本論文は, 新潟県内のトンネル施工現場から掘削排出された泥岩に対して締固め試験や強度試験を行い, 締固めた泥岩岩砕の力学特性を調べたものである. ここでは, 盛土材料として現実的な課題になる締固め後の水浸条件や劣化・スレーキングに伴う強度への影響を, 一軸圧縮試験および三軸圧縮試験を行うことにより明らかにしている. また, 締固めた泥岩を水浸させた後の破壊規準は, ここで定義した締固め降伏応力によって過圧密と正規圧密領域に区分することが可能であり, 締固め降伏応力は乾操密度で評価できることを示した.
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原 久夫
2004 年2004 巻771 号 p.
71-79
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
沖縄県における赤土流出防止対策工法のひとつとして, ろ過型沈砂池による赤土濁水処理法がある. 本法は, 用地が確保できれば施工性, 経済性に優れ, 広く用いられてきた主要な対策工法であるが, 赤土濁水透過によってろ過層が目詰まりし, ろ過能力の低下があるにもかかわらず, 十分な透水性やろ過能力を確保できる期間について不明確である問題点があった. 本研究は, 赤土濁水を対象としたろ過層のろ過特性について, 最新の実験結果やその結果を利用した新しいろ過型沈砂池容量の設計法について述べるものである. 提案する設計法では, 従来法では対応できないいろいろな設計条件を考慮したろ過型沈砂池容量の設計が可能となる. またろ過型沈砂池の使用限界を規定する限界透水係数による管理法について述べる.
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沼田 佳久, 中根 淳, 矢島 寿一
2004 年2004 巻771 号 p.
81-90
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究では, 豊浦砂をベースとした細粒分含有率 (Fc) の異なる, 初期相対密度が一定の砂質土に対して
K0圧密を行った後, 繰返し非排水三軸試験を実施した. その結果, 砂質土の挙動は, 初期せん断応力と繰返しせん断応力片振幅の大小関係から, 破壊と見なせる液状化, 繰返し軟化, および, 破壊なしに分類できることが確認できた. 次に, 繰返しせん断応力の伸張側への反転の度合いを示す指標 (SRR) を用いて各挙動の変化点を調べた結果, SRRはFcの違いにより変化することが判明した. さらに, 繰返し応力比~繰返し回数の関係において規定される繰返し回数に応じた破壊形態は, 場合によってはFcにより液状化または繰返し軟化に分かれ, 液状化強度の評価における扱いが異なってくることがわかった.
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稲垣 太浩, 三嶋 信雄, 武部 篤治, 藤山 哲雄, 石黒 健, 太田 秀樹
2004 年2004 巻771 号 p.
91-110
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
道路盛土の設計は, 近い将来性能設計に移行することが予想される. 著者らはその準備として, 弾粘塑性有効応力FEMを用いた道路盛土の長期変形挙動予測, 対策工のパフォーマンスの事前評価, LCC試算等を含んだ最適設計を既報にて試みてきた. 本論文では, 道路盛土の基本的な要求性能である盛土立上がり時の安定性に対して, 詳細かつ実務的な評価手法を新たに提示し, 既往崩壊盛土の再現を試みることでその評価精度の検証を行った. さらに, ある実盛土をモデルとして, 様々な対策工を想定した一連の試解析を実施し, 盛土立上がり時や地震時安定性を含む各種要求性能を満足し, かつLCCを最小とする最適工法の抽出過程を示すことで, 軟弱地盤上の道路盛土に対する性能設計の具体像の提示を試みている.
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末次 大輔, 宮田 喜壽, 木暮 敬二, 落合 英俊
2004 年2004 巻771 号 p.
111-120
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
石炭灰のコンシステンシーの評価法と, その力学特性の推定への適用性について, 室内試験を実施して検討した. 混合水量の変化に伴う石炭灰の状態を分類し, コンシステンシーの評価法をセラミックス工学やコンクリート工学の考え方をもとに確立した. フォールコーン試験でそれらを簡便に評価できることを明らかにした. 水中落下法で作製した供試体の初期間隙比と圧縮指数を調べ, それらと本研究で提案するコンシステンシーに基づく指標との間に高い相関があることを明らかにした. 本論文で提案する石炭灰のコンシステンシーの評価法は, 石炭灰を埋立材料として用いる場合に有益と考えられる.
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木村 誠, 今井 五郎
2004 年2004 巻771 号 p.
121-133
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
海面埋立型廃棄物処分場の底面に遮水材として用いられる土質材料は, 陸上処分場のように締固め施工することが困難であって, 一般には水中にポンプ打設される. そのため, 打設された遮水材は当初高含水比 (間隙比が大きい) 状態にあるものの, その時点ですでに十分な遮水性を発揮することが求められる. そして, そのような初期性能を発揮するための配合を決定するには様々な配合ケースを設定して多数の実験を行う必要がある. そのため, 多大な時間やコストが費やされる, そこで本研究では底面遮水工を想定し, 粘性土を母材とする土質材料に対して施工性・遮水性の実験的な検討を行い, 初期遮水性に留意した簡易な配合設計方法を提案することにした.
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樺澤 和宏, 國生 剛治
2004 年2004 巻771 号 p.
135-145
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
振動台実験により水膜現象が液状化時の側方流動メカニズムに及ぼす影響を検討した. 均一砂層の予備実験から, 地盤変形は主に振動中に生じることや斜面の初期せん断力による水圧の上昇量の差を確認した. それに対して傾斜地盤に低透水シームを円弧状に挟み込んだ模型実験では, 振動終了後に水膜現象によってシーム直下で水圧が上昇し, 上部土塊が剛体的に再流動する. しかも, 小さな加速度でも大きな流動が起きる場合がある. この水膜現象による流動についてエネルギー的検討を行った結果, 上槽寸法やシームの塑性, 加振方向, 加速度, 相対密度などの違いに関わらず, せん断抵抗が通常時の20%程度にまで低下するが, すべり面に沿った粗度などの影響で完全にゼロにはならないことが分かった.
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稲田 善紀, 木下 尚樹, 川口 隆, 山内 秀基, 渡辺 広明
2004 年2004 巻771 号 p.
147-156
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
岩盤の静的破砕工法の一つとして加圧孔に4方向同時に加圧することで希望する破砕方向に方向制御できるピストン式油圧岩盤破砕機を試作し, 効率的な岩盤破砕を行うための実験および理論解析を行い検討した結果については既に報告した. 今回はさらに機構の異なるスライド式油圧岩盤破砕機を試作し, 室内および現場実験, 理論解析を行い, 空孔および加圧板の面積が岩盤破砕に及ぼす影響について検討した. その結果, ピストン式油圧岩盤破砕機と同様にスライド式岩盤破砕機においても空孔が破砕に要する力の低減に効果があることがわかった. また, スライド式油圧岩盤破砕機において加圧孔に対する加圧板の面積を大きくすることによって破砕に要する力および仕事量が軽減されることなどがわかった.
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増田 良一, 雨宮 清, 千々松 正和, 足立 格一郎, 小峯 秀雄
2004 年2004 巻771 号 p.
157-171
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
放射性廃棄物の地層処分における緩衝材の仕様設計および緩衝材施工システムの構築にあたっては, 施工面からの合理性生・確実性を確保するため, 材料となるベントナイト・ケイ砂混合材料の締固め特性の把握が必要である. 本研究では, 緩衝材の主要な仕様項目であるケイ砂混合率, 含水比, 使用ベントナイトをパラメータとした静的締固め試験を実施し, 緩衝材の主要な仕様項目と締固め特性の関係の明確化を行った. また, 静的, 動的締固め特性の比較並びに電子顕微鏡による粒子状態の観察から, 締固め機構について考察を加え, 粒子挙動の観点から緩衝材の締固めにおける影響因子, 留意点の検討を行った.
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児玉 潤, 足立 格一郎
2004 年2004 巻771 号 p.
173-185
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
粘土の微視構造と力学挙動との関連性を定量的に示すことは重要なテーマである. 本研究では粒子サイズの異なるイライトおよびDL粉砕土の2つの試料を用いて圧密試験を行い, 圧密による微視構造の変化を粒子サイズに着目して定量的な解釈を試みた. 微視構造を直接測定することが可能な超深度形状測定顕微鏡を用いて様々な測定倍率で断面形状の測定を行い, Sm 値, フラクタル次元および二次元フーリエ変換の3つの手法を用いて定量化を行った. 各解析手法は測定倍率などの測定条件により粗さの評価が異なる点に留意すべきものの, 粒子サイズの違いによる特徴を明確に示すことが確認され, 圧密前後の微視構造の変化を定量的に解釈することが可能であることがわかった.
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大西 有三, 西山 哲, 矢野 隆夫, 緒方 健治, 松山 裕幸
2004 年2004 巻771 号 p.
187-197
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文はデジタルカメラで撮影した斜面の画像を使って, 当該斜面の挙動をモニタリングするための技術に関する研究を述べたものであり, 具体的にはさまざまな方向から撮影された多数枚の画像によって対象斜面の形状を高精度に復元する技術を利用した監視システムに関するものである. 本研究では, 計測点, カメラおよび画像の幾何学的関係から得られる方程式についての擬似逆行列を使った解析法を考察し, 基準点を設けることなく斜面に設置された計測点間の距離をノルム最小の最小二乗解によって求め, その変化から斜面の挙動を監視する技術についての議論を展開する. さらに本研究による解法の計測精度を定量的に検証し, 斜面のモニタリングへの適用性を考える.
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北詰 昌樹, 早野 公敏, 佐藤 恒夫, 上用 敏弘
2004 年2004 巻771 号 p.
199-214
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
管中混合固化処理工法により大量急速施工された地盤の強度のばらつきとその要因を調べるために, 原位置調査・試験および室内試験を行った. 土運船1隻が供給する原料土に対し, 含水比と水セメント比の変動係数
CVを数%程度に制御した配合管理を行いかつ十分な管路圧送距離で混練を行うと, 処理土の一軸圧縮強さ
quの変動係数
CVは十数%程度であった. 同様の配合管理を複数の土運船が供給する大規模土量に続けると, 打設船上で採取した処理土全体の
quの
CVは30%程度になった. これは原料土である浚渫土の不均質性の影響を受けている. また固化処理地盤からロータリー式サンプラーで採取した試料の
quの
CVは37.4%になり, 水中部に打設する際の材料の分離や水の巻き込みの影響が生じていると考えられた.
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〓 大虎, 鈴木 輝之, 山下 聡, 澤田 正剛
2004 年2004 巻771 号 p.
215-224
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本研究は寒冷地におけるプレキャストL型擁壁の凍上対策を検討するため, 北見工業大学構内に凍上対策をしない区間, 断熱工法及び置換工法を施した区間の三つの区間からなるL型土留め壁を試験設置した. 3シーズンにわたる地盤凍結期の裏込め土の凍結分布と壁体の挙動測定から凍結土圧の発生メカニズムを把握し, 更に断熱工法と置換工法の有効性を確認した. 次にシミュレーション手法によって各種断面形状のL型擁壁における裏込め土中の凍結面形状を推定し, これらの解析結果から置換工法における有効な置換範囲の決定方法を提案した.
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小峯 秀雄, 直井 優, 安原 一哉, 村上 哲, 百瀬 和夫, 坂上 武晴
2004 年2004 巻771 号 p.
225-234
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
高レベル放射性廃棄物地層処分で用いるベントナイト系緩衝材・埋戻し材を設計・製作する際には, 世界各国に埋蔵されている数多くのベントナイトから, 適切なベントナイトを数種類程度, 選定する必要がある. その際, 各ベントナイトの浸潤・透水特性や膨潤特性などの基礎データに基づき選定を行うものと考えられるが, データ取得に非常に長い時間を要するので, 世界各国のベントナイトに対して実施することは困難である. そこで本研究では, 浸潤特性と膨潤特性の基礎データについて簡易に計測できるメスシリンダーを用いた実験方法とデータ解析するための評価法を新たに提案する. 本方法により取得される実験結果の再現性を確認するとともに, 塩類を含む水溶液による浸潤・膨潤特性への影響について論じる.
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児玉 潤, 足立 格一郎
2004 年2004 巻771 号 p.
235-247
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
自然堆積土は年代効果などにより微視的には粒子間結合が強く間隙が大きな構造を有しており, 練り返して再圧密した粘土よりも圧縮性が高い. このような微視構造の違いは電子顕微鏡などで定性的に示すことが可能であるが, 定量的な評価を行う研究はあまり多くない. 本研究では, 有楽町層粘土を対象として超深度形状測定顕微鏡を用いた微視構造の観察・測定を行い, フラクタル次元と二次元フーリエ変換の2つの手法を用いて定量化解析を行った. その結果, これらの手法は不撹乱試料と再構成試料の構造の違いや圧密前後の構造変化を定量的に示すことができ, 自然粘土に対しても適用性が高いことが示された. また, 空気乾燥法と凍結乾燥法による試料とでは, その定量的評価が異なることが確認された.
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福島 伸二, 北島 明, 谷 茂, 廣田 修, 澄川 薫
2004 年2004 巻771 号 p.
249-264
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
築造年代の古い老朽化したため池は, 漏水や堤体破損等に対する早急な改修を必要とされている例が多いが, その改修に必要な強度や遮水性に適した築堤土を池近傍から入手しにくくなっており, 計画的な改修を難しくしている. 著者らは, 既設堤体土を活用した築堤土の現地調達を行うために, これまでに既設堤体土に貯水池内に堆積した底泥土を混合して遮水性を改良した粒度調整土の築堤土を用いた老朽ため池堤体の改修法の可能性について室内試験により確認してきた. ここでは室内試験の成果を実施工レベルで確認するために実施した現場実証試験の結果を報告する.
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佐藤 信光, 米崎 文雄, 大藪 勝美, 太田 秀樹, 中川 浩二
2004 年2004 巻771 号 p.
265-280
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
ロックフィルダムの力学的挙動の課題として, フィルタ部への応力集中とコア部の応力低下, 地震に対する堤体の耐震性能照査法の高度化ならびにコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダムへの新たな取り組みなどがあり, 堤体挙動解析手法の高度化が進められている. 本研究は, 上記課題を考慮して堤体挙動評価の基本となる静的挙動のうち, 実測された応力ならびにひずみ挙動について検討した. 4つのロックフィルダムにおける築堤および湛水時の堤体挙動記録を全般にわたって比較分析し, その中から上記課題に資する堤体挙動評価の可能性をとりまとめた. その結果, 今後のダム設計の見直しや堤体挙動解析の高度化に資する有益な知見を提示した.
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伊藤 孝優, 伊藤 孝男, 平野 久史
2004 年2004 巻771 号 p.
281-288
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
下水処理場より発生する汚泥は, 減量化のために高分子系凝集剤を添加脱水後, 焼却され焼却灰の形で管理型処分場に埋立て処理されている. 本研究は, この高分子系焼却灰 (灰の組成ではCaOが10%未満含有) を建設発生土の改良を目的とした「土質改良材」への適応性について検討を行った. この焼却灰は自硬性に乏しいため, 改良助剤として石灰を添加した粉体状土質改良材と石灰・セメントを添加し高加圧造粒した造粒型土質改良材を製造し, 不良土とされる建設発生土 (粘性土) を改良処理した際, 埋戻し土としての強度基準および土壌環境基準を満足する土質改良材としての適応性について検討し, その可能性を確認した.
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福島 伸二, 谷 茂, 北島 明
2004 年2004 巻771 号 p.
289-308
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
老朽化したため池は堤体の断面不足や漏水などのために早急な改修を必要とされているが, 著者らはこのような場合の堤体改修法として池内に堆積した底泥土を固化処理して築堤土として有効居用できる砕・転圧盛土工法を開発してきた. 本報告は, この工法を急勾配かつ高堤体のため池の補強と漏水防止のための傾斜遮水ゾーンの築造に適用した事例を紹介するもので, 特に急勾配かつ堤高の大きい堤体の補強を既設堤体との剛性差を少なくするためにゾーニングした傾斜遮水ゾーンを築造したこと, 底泥土の固化処理のための室内配合試験結果, 実際に築造した傾斜遮水ゾーンの強度・遮水性の確認調査と既設堤体との応力~変形特性の比較調査の結果について報告する.
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村上 幸利
2004 年2004 巻771 号 p.
309-313
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
山梨県峡南地域に堆積した泥岩を盛土材料として締固めた場合について, その水浸に伴う圧縮変形特性をこれまで追究してきたが, 本研究ではその結果を踏まえて, 経済性や施工性を考慮した締固め基準を検討した. その結果, 臨界空気間隙率を締固め基準として採用することが合理的であることを示した. また, 臨界空気間隙率は, 泥岩のスレーキング性と破砕性に関連した指標あるいは吸水率との間に一定の関係をもつことから, その関係を利用することによって, 締固め基準である臨界空気間隙率を比較的に簡単な方法でもって評価できることを提案し, 検証した.
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福井 次郎, 石田 雅博, 白戸 真大, 松井 謙二
2004 年2004 巻771 号 p.
315-320
発行日: 2004/09/21
公開日: 2010/08/24
ジャーナル
フリー
本論文は, 将来の道路橋基礎への部分安全係数設計法の導入に向け, 地盤定数の特性値の評価, 設計書式について議論したものである. 地盤定数の評価は基礎設計において最も重要な点のひとつであるが, その信頼性は設計の過程で用いられる地盤調査法に強く依存する. したがって, 異なる基礎構造物間においてある一定の構造信頼性を保持するためには地盤パラメータの特性値の評価に関して一定の手順を定めておくことが不可欠である. 本論文は, まず構造物基礎の部分安全係数設計法の書式として材料係数アプローチと抵抗係数アプローチのいずれを採用すべきかについて考察する. 次に地盤調査結果から地盤パラメータの特性値を決定するための共通の手順を提案する.
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