2004 年 2004 巻 772 号 p. 67-77
人々が移動する場合, 単に所要時間 (旅行時間) が短いだけでなく, 確実に到着出来ることを求めていることが多く, 交通計画や交通管制等の際, 単に旅行時間だけでなく, その不確実性等を評価することが不可欠である. しかし, 確率的利用者均衡は経路選択に確率的効用理論 (ランダム効用理論) を用いているだけであり, ワードロップ均衡と同様に配分される交通量や旅行時間は確定的である. 以上のように従来の均衡モデルでは, 交通ネットワークの不確実性や時間信頼性を十分に評価することは出来ないことが分かる. そこで, 本研究では, 交通ネットワークの不確実性や時間信頼性の評価等に必要となる, 交通量及び旅行時間が確率分布であるネットワーク均衡モデルを定式化する. そして, そのモデルを金沢市の道路ネットワークに適用し, 現況再現性やモデルの妥当性について検討する.