抄録
2001年の省庁再編では, 総務省に行政評価局が, 各省庁に政策評価の担当部局が設置された. これらは各省庁が実施する政策評価の妥当性をチェックする監査機関と位置づけられ, 現在, その役割に対して大きな期待が寄せられている. 本研究では, 社会基盤施設整備のプロジェクト評価における監査制度の役割に着目する. 契約理論に基づいたモデル分析を行い, 分析結果に意味解釈を加えることで監査制度の意義と限界について考察する. また, 昨今のプロジェクト評価のマニュアル化の意義と限界についても監査制度設計の視点から考察する. 分析結果から, プロジェクトの便益や監査費用と最適監査スキームやマニュアル化の社会的必要性の関係が明らかにされる.