抄録
波形鋼板ウェブを有するPC桁は,Euler-Bernoulli梁理論やTimoshenko梁理論によっては,断面力やたわみを精度よく求めることができない.このため,その断面力やたわみの実用的解析のための拡張はり理論が提案されてきたが,いずれも弾性解析にとどまっている.そこで本研究では,Machimdamrongら (2004) の提案した拡張はり理論に基づき,これを波形鋼板ウェブの弾塑性変形を考慮できるように拡張した.鋼板の応力-ひずみ関係はPrandlt-Reuss理論に従うものと仮定し,硬化則には複合硬化モデルを用いた.ここで,波形鋼板ウェブのせん断弾塑性挙動の再現に必要なパラメータは,鋼板の引張実験結果より同定した.拡張はり理論による弾塑性解析の結果を,3次元有限要素モデルを用いた弾塑性解析の結果と比較し,両者が良く一致することを確認した.