土木学会論文集A
Online ISSN : 1880-6023
ISSN-L : 1880-6023
62 巻, 2 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
英文論文
  • Jian ZHANG, Tadanobu SATO
    2006 年 62 巻 2 号 p. 312-322
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    Structures exhibit highly nonlinear characters under severe loads such as strong seismic excitations. Therefore, it is crucial to make nonlinear structural identification in civil engineering. However, nonlinear hysteretic structural identification is still a challenging topic due to structural model complexity and the strong noises existing in input and output (I/O) data. An efficient approach based on the incremental support vector regression (SVR) is proposed here to identify nonlinear hysteretic structural parameters on-line. Instead of the Gaussian loss function utilized in the least squares method, a novel ε insensitive loss function is employed in SVR, and therefore the suggested SVR-based approach produces robust and accurate identification results. Furthermore, as an incremental algorithm employed to train SVR in a sequential way, the presented SVR-based approach not only works rapidly, but also identifys nonlinear structural constitutive parameters on-line. The performance of the proposed approach is verified by a five degree of freedom nonlinear hysteretic structural identification problem, in which two cases (power parameter is known/unknown) are both investigated. The identified results show evidently that the proposed technique has potential performance in robustness and accuracy for nonlinear structural identification, even when the measurement data in the presence of noises.
  • Hirokazu TAKEMIYA, Feng CHEN
    2006 年 62 巻 2 号 p. 467-477
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    These authors, focusing on the seismic responses of a pile foundation of traffic viaduct, propose an innovative enhancement method of a pile foundation by surrounding cells like Wave Impeding Barriers (WIB) for design. The present WIB consists of a multiple number of soil-cement columns, which are arranged in cells around piles. Since nonlinear dynamic soil-pile interaction is unavoidable in strong earthquake motions at soft site, such behavior is simulated approximately by a two-dimensional FEM-BEM in time domain. The performance design is pursued by parametric studies in view of pile internal forces. Partial damage of the WIB makes the pile safe with less nonlinear response. The high-damping assumption for the WIB fill-in keeps the WIB within safe margin.
和文論文
  • 小幡 卓司, 大野 良輔, 林川 俊郎
    2006 年 62 巻 2 号 p. 191-203
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究は,社会基盤構造物のライフサイクルにおける,地球温暖化に関わる環境負荷の定量的評価について検討を加えることを目的とする.本研究では橋梁構造物を対象に,橋梁11種類の試設計を行い,その結果から得られた CO2 排出量等のデータに包絡分析法を適用し,地球環境負荷に関する定量的評価を行った.また,この結果から高性能鋼の使用等を想定した各種のシナリオを設定し,200年のライフサイクルスパンを考慮した環境性能向上策について検討した.解析結果から,環境性能は少数主桁鋼橋とポステン PC 桁橋が優れているが,従来型鋼橋においても,両者に比して70%~85%程度の効率性を有することが判明した.また,CO2排出量低減やコストダウンを行うことにより,かなりの環境負荷の改善効果が期待できる数値解析結果が得られた.
  • -計測と FEM 解析のハイブリッド手法による予測と対策-
    竹宮 宏和, 陳 鋒, 井田 啓子
    2006 年 62 巻 2 号 p. 204-214
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究は,高架道路橋から発生する交通振動の沿線地盤への伝播性状をフィールド計測と FEM 解析のハイブリッド手法により究明したものである.まず,試験車走行を対象に構造物に誘発される卓越振動と当該地盤の軟弱成層構造による分散性波動伝播を詳細に調べた.これより,3 Hz 程度の低周波振動が沿線地盤に誘発され,それはかなりの距離にまで伝播し,環境振動問題の原因であることが分かった.つぎに FEM モデルによるシミュレーションから複数基礎に支持された高架橋-地盤系の固定位置加振源問題としての有効な沿線振動予測手法を示した.さらに上記の低振動数域の振動対策法として,構造物側の工夫と周辺地盤への WIB による有効性の比較検討を試みた.
  • 高田 至郎, 市原 大助, 鍬田 泰子
    2006 年 62 巻 2 号 p. 215-224
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     下水道管きょの改築・修繕については,今後その需要増大が見込まれることから,効率的・効果的に行われることが必要である.そこで,下水道管きょの効率的な管理を行うため,下水道管路施設の最適更生時期を決定する方法を提案した.下水道施設の酸による劣化速度を定量的に評価し,下水道管路の耐久性の検討を行った.さらに,酸による下水道管路の劣化状況により腐食レベル分類し,それぞれの腐食レベルに到達する年数を推定した.到達する年数から耐用年数投資効果分析を行うことで,最適な管更生の工法とタイミングを選定する手法を提案した.
  • 増井 大輔, 翠川 三郎
    2006 年 62 巻 2 号 p. 225-232
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     耐震設計における地震動は,およそS波速度400m/secの工学的基盤を用いて評価される場合が多い.工学的基盤を基盤として設定することは,深い地盤構造の影響を受けやすい周期1秒以上のやや長周期の地震動を適切に表現できないことから,本研究では深部地盤構造の影響を簡便に評価する基礎的段階として,関東平野を対象に,工学的基盤以深の地盤増幅率と基盤深度との関係を検討した.その結果,基盤深度と平均地盤増幅率とには良い相関が見られ,基盤深度の増加と共に地盤増幅率が増加し,ある深度で地盤増幅率は一定の傾向を示すことが分かった.また,地震毎の地盤増幅率のバラツキに対して,近地地震および遠方地震からの検討を行い,地震毎の地盤増幅率の変化をみかけの入射角度で説明できる可能性があることを指摘した.
  • 鍬田 泰子, 中尾 真紀, 高田 至郎
    2006 年 62 巻 2 号 p. 233-242
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     地震時のライフラインの機能損傷は緊急対応や復旧活動に影響するのみならず,人命救助にも多大な影響がある.著者らは人命にかかわるライフラインを救命ライフラインと呼んでいる.中でも病院の医療活動を支えるライフラインは極めて重要である.院外水道システムと院内水道システムの両システムが稼動して始めて緊急医療活動に寄与できる.本研究では院外水道システムの設備更新に関わる費用便益についてリスクマネジメント手法を用いて検討した.さらに,病院給水に関わるリスクを定量化することで病院ライフラインの耐震化優先順位の考え方を提示した.
  • 伊藤 義人, 佐藤 和也, 顧 浩声, 山本 吉久
    2006 年 62 巻 2 号 p. 255-266
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     ゴム支承の長期的な性能劣化の予測手法は未だ確立されていない.現行の設計ではゴム支承の長期的な性能劣化は考慮されていない.本研究は,橋梁支承用天然ゴムの熱酸化劣化特性を基に,橋梁建設の任意の環境下での橋梁用天然ゴム支承の長期的な性能劣化を予測する手法を構築し,性能劣化の温度,時間およびゴム支承のサイズとの関係を明らかにした.また,天然ゴム支承の等価水平剛性の劣化特性を推定できる簡便な算定式を提案し,設計への適用を示した.
  • 濱崎 義弘, 岡田 徹, 山口 宏樹, 藤野 陽三
    2006 年 62 巻 2 号 p. 279-287
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,先に提案した曲げ剛性を考慮したケーブルのモード減衰評価法において必要となる伸びおよび曲げの損失係数について検討している.過去に報告されてきた各種ケーブルの横振動実験結果に基づき,統計的にケーブル種類別の損失係数を同定した.その結果,伸びの損失係数が0.010~0.022であるのに対し曲げは0.040~0.140と相対的に大きいこと,ストランドロープや平行線ケーブルに対しロックドコイルロープの損失係数が2倍程度大きいことが明らかになった.また,実ケーブルの伸びおよび曲げそれぞれ単独の振動実験を行い,損失係数を求めた結果,既存の実験データからの同定結果と比較的よく対応しており,これらの値が妥当な損失係数を与えていることを示した.
  • 石澤 俊希, 井浦 雅司
    2006 年 62 巻 2 号 p. 288-299
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,単柱形式の箱形断面鋼製橋脚を対象とした簡易解析モデルの提案を行なう.本モデルの特徴は,実験結果やシェル解析結果を必要とせず,構造寸法と材料定数のみで解析を行なう点にある.本モデルの計算は2段階で構成されている.第1段階は,局部座屈が発生する橋脚基部をモデル化した要素の平均応力-平均ひずみ関係を計算する.得られた平均応力-平均ひずみ関係は,局部座屈による軟化を考慮したものとなる.第2段階は,鋼製橋脚全体の解析を行なう.この全体解析では,橋脚基部にファイバー要素を用い,その応力-ひずみ関係の骨格曲線に第1段階で得られた平均応力-平均ひずみ関係を用いている.最後に,解析結果と既往の実験結果との比較検討を行ない,本モデルの妥当性を確認した.
  • 利根川 太郎, 山口 隆司, 杉浦 邦征, 渡邊 英一
    2006 年 62 巻 2 号 p. 300-311
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     ハイブリッド桁は強度規格が異なる鋼板でウェブとフランジが構成された桁であり,引張フランジのみに降伏強度が500MPaの高強度鋼を用いた合成ハイブリッド桁の限界幅厚比や終局強度を把握するため,合成桁正曲げ部に着目し,ウェブ幅厚比,材料強度をパラメトリックに変化させた弾塑性有限変形解析を行った.その結果,JSSC基準案より薄肉,かつアスペクト比の大きなウェブを持つ合成ハイブリッド箱桁においても,ウェブ幅厚比にかかわらずウェブの座屈等による強度低減は見られないこと,終局強度は概ね全塑性強度で評価できることがわかった.さらに,500MPa鋼材および合成ハイブリッド箱桁はユーロコードの適用外ではあるが,ユーロコードの終局強度の全塑性強度に対する低減式より若干良好な評価が可能となる結果となった.
  • 渡辺 孝一, 久保 全弘
    2006 年 62 巻 2 号 p. 323-336
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本論文は,近年,PC箱桁橋桁において採用されるようになった波形鋼板ウェブの面内曲げ挙動に着目し,平板桁を含め4種類に波高を変化させた場合の純曲げに対する変形性能と耐荷力の基本的な性状を実験的に検証した.また,実験桁をモデル化し,有限要素法による非線形解析を行い,波形腹板の応力特性,崩壊形および耐荷力について比較検討した.その結果,腹板が曲げによる垂直応力にほとんど抵抗しない特性を確認し,波形腹板の形状係数と面内曲げ耐荷力の関係を定量的に示した.さらに,パラメトリック解析からフランジの局部座屈が耐荷力に支配的であることを示し,波形鋼板ウェブ桁の曲げ耐荷力を推定するための評価法を提案した.
  • 國富 康志, 土山 正登, 藤井 康寿, 中川 建治
    2006 年 62 巻 2 号 p. 337-344
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,直線状の亀裂を含む周辺単純支持された長方形板のたわみ振動の固有周期を求めるための解析法を提案している.得られた解の特徴は,亀裂線上に沿ってたわみ(あるいはたわみ角)のみが有限項のフーリエ正弦級数状態のギャップを持ち,他は連続する特殊な板の理論解を導いたことである.その上,亀裂先端には,開口と断面力が共存するするプロセスゾーン相当部分も構成した.
     数値解析例として,既往の研究成果による固有周期の比較を行い,本研究の有効性を検証している.さらに,たわみ曲面や亀裂線上の断面力 [Mx(y), Rx(y)] を図示し,亀裂位置の移動による基本周期の変化状況も提示している.
  • 車谷 麻緒, 寺田 賢二郎
    2006 年 62 巻 2 号 p. 345-361
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本論文および本研究では,有限要素解析の領域分割問題における界面接合手法の解析精度や計算効率に関する検討を行い,これらの関係を明らかにすることを目的とする.検討対象とする界面接合手法は,最も簡易なペナルティ法と近年話題を集めている不連続 Galerkin 法,そして Lagrange 未定乗数法とする.はじめに,これらの界面接合手法を適用した有限要素解析の定式化や解析アルゴリズムについて説明した後,単純な2つの部材の連結・不整合メッシュの連結・異種材料界面の連結問題を題材とする数値実験を行う.本研究では,特にパラメータ設定に伴う解析精度と計算効率の関係や,Lagrange 未定乗数法における有限要素の補間次数とLagrange未定乗数の補間次数の最適な適合関係についての知見を得ることができた.
  • 池田 清宏, 柳本 彰仁, 野口 裕久
    2006 年 62 巻 2 号 p. 362-370
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     固有値解析を要しない分岐解析法として Scaled corrector 法が注目を集めているが,その精度には課題が残されている.そこで,本論文では Scaled corrector 法に対称性を持つ系の分岐の仕組みを取り入れた高精度の分岐解析法を提案する.具体的には,Newton-Raphson 法の変位修正ベクトルである Scaled corrector (正規化修正子) を対称性を持つ成分毎に分解することで誤差を取り除くことにより分岐モードの高精度化を行う.本手法を正6角形状のトラスドームの分岐解析に適用した結果,高精度の分岐モードを抽出することができ,分岐点の探索も高い精度で行え,本手法の有用性を示すことができた.
  • 石井 建樹, 京谷 孝史, 寺田 賢二郎, 岸野 佑次
    2006 年 62 巻 2 号 p. 371-383
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     主として圧縮に対して抵抗する岩盤やコンクリートなどの非均質脆性材料の変形破壊挙動は,構成材料内部における不連続面の発生・進展や異種材料界面の剥離のみでなく,それら不連続面の接触・摩擦すべり挙動などが絡み合った結果として現れる.本論文では,こうした変形破壊挙動の追跡を目的に,Cohesive crack モデルを有限被覆法に導入した Lagrange 未定乗数法に基づく数値解析手法を新しく開発した.例題を通して,不連続面の摩擦接触の影響を反映しながらその発生・進展を追跡する数値解析手法としての有用性を示した.
  • 丸山 喜久, 山崎 文雄
    2006 年 62 巻 2 号 p. 384-392
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本研究では,気象庁87型地震計で観測された地震記録をもとに,減衰比1%,2%,5%,10%および20%の応答スペクトルの距離減衰式を構築し,5%減衰の応答スペクトルを基準とした各減衰の応答スペクトル比に,マグニチュード,震源距離,震源深さ,地盤条件が与える影響を検討した.さらに,距離減衰式から予測される応答スペクトル比と実地震記録を用いて算出した応答スペクトル比を比較し,その推定精度を検討した.以上の検討をふまえて,5%減衰の応答スペクトルを任意の減衰定数の応答スペクトルに換算する方法を示した.
  • BARIANT Jean-François, 宇都宮 智昭, 渡邊 英一
    2006 年 62 巻 2 号 p. 393-404
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     波形鋼板ウェブを有するPC桁は,Euler-Bernoulli梁理論やTimoshenko梁理論によっては,断面力やたわみを精度よく求めることができない.このため,その断面力やたわみの実用的解析のための拡張はり理論が提案されてきたが,いずれも弾性解析にとどまっている.そこで本研究では,Machimdamrongら (2004) の提案した拡張はり理論に基づき,これを波形鋼板ウェブの弾塑性変形を考慮できるように拡張した.鋼板の応力-ひずみ関係はPrandlt-Reuss理論に従うものと仮定し,硬化則には複合硬化モデルを用いた.ここで,波形鋼板ウェブのせん断弾塑性挙動の再現に必要なパラメータは,鋼板の引張実験結果より同定した.拡張はり理論による弾塑性解析の結果を,3次元有限要素モデルを用いた弾塑性解析の結果と比較し,両者が良く一致することを確認した.
  • 阿部 淳一, 渡邊 忠朋, 杉本 博之
    2006 年 62 巻 2 号 p. 405-418
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     ゴム支承を有する橋梁構造物に代表されるような,地震時の挙動が複雑となる構造物には,動的解析による耐震性能の照査を基本とする.しかし,動的解析には一回の解析に比較的多い時間を必要とするため,最適設計に動的解析を直接組み込むことは非現実的である.本研究ではこのような背景のもとで,構造物の動的な制約条件をRBFネットワークを用いて近似をすることによる最適耐震設計を試みた.本論文では比較的簡単な門型ラーメンRC橋脚を例にとり,非線形スペクトル法との最適設計と比較して,まず近似の妥当性を確認する.さらに,地震時の挙動が複雑になると想定される,ゴム支承を有する4径間連続RC橋を例にとり最適設計を試みる.これらの結果から,本手法の有効性を確認することを目的とする.
  • 車谷 麻緒, 寺田 賢二郎
    2006 年 62 巻 2 号 p. 425-439
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     本論文では,コンクリート構造物に代表的な環境劣化現象を想定し,均質化法を用いた物質拡散問題と応力変形問題の弱連成マルチスケール・マルチフィジックス問題を定式化し,その数値解析システムを構築する.はじめに,均質化法を用いた物質拡散問題と応力変形問題の弱連成マルチスケール・マルチフィジックス問題の定式化を行い,本解析における異なる空間スケールと物理問題の連成作用や数値解析アルゴリズムについて説明する.次に,ミクロスケールにおける脆性的なひび割れによる劣化を表現するための修正型イメージベース解析法を説明する.そして最後に,環境作用を受ける非均質脆性材料の経年的な劣化現象の数値解析例を示し,本研究で開発したマルチスケール・マルチフィジックス解析手法の有効性を例示する.
  • 貝沼 重信, 細見 直史
    2006 年 62 巻 2 号 p. 440-453
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     鋼構造部材のコンクリート境界線近傍において,局部腐食による致命的な損傷事例が報告されている.著者らはこの部位の腐食挙動をモデル供試体の腐食促進実験により明らかにした.しかし,構造物の供用年数に相当する鋼構造部材の経時的な腐食表面性状を把握するためには,膨大な数の供試体を用いた長期間の腐食促進実験を実施する必要がある.そこで,本研究では腐食供試体の表面性状を回帰樹とバリオグラムにより分析することで,経時的な腐食特性値を抽出した.また,この特性値を用いた検索的空間統計数値シミュレーションにより,コンクリート境界部における鋼構造部材の経時的な腐食表面性状を推定する手法を提案した.さらに,腐食による部材の残存板厚と板厚貫通までの期間の推定法を提案した.
  • 吉田 純司, 杉山 俊幸, 藤野 陽三
    2006 年 62 巻 2 号 p. 454-466
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     バイリニアモデルは,免震支承の復元カモデルとして設計において広く使われているが,地震応答解析での精度については不明な点が多い.本研究では近年開発された超高減衰ゴム支承を対象とし,精度の良いバイリニアモデルの構築を目的とする.まず,著者らが開発した高精度モデルを適用し,大変位を生じる地震応答解析の際に従来のバイリニアモデルでは応答予測精度が著しく低下することを示す.次いで水平1方向および2方向加振に対する地震応答解析において,構造系の応答予測に最適なバイリニアモデルのパラメータを同定する.最後に同定結果を近似する推定式を提案し,特に大地震時において応答予測精度が大きく向上することを示す.
和文報告
  • 山口 栄輝, 中村 聖三, 廣門 公二, 森田 千尋, 園田 佳巨, 麻生 稔彦, 渡辺 浩, 山口 浩平, 岩坪 要
    2006 年 62 巻 2 号 p. 243-254
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     近年数多くの耐候性鋼橋が建設されているが,その実態について体系的な調査は行われておらず,鋼橋における耐候性鋼材のパフォ-マンスが十分に把握されているとは言い難い.そこで,九州橋梁・構造工学研究会(KABSE)に設置された「九州・山口地区における耐候性鋼橋の調査・研究分科会」の活動の一環として,同地区の耐候性鋼橋300橋以上を対象に実態調査を行った.ここでは,その調査結果,ならびにさび状況と調査項目との関連性の検討結果を報告する.
  • 南 邦明, 森 猛, 堀川 秀信
    2006 年 62 巻 2 号 p. 267-278
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
     50mmを超える厚板鋼板に高力ボルト摩擦接合継手を適用する場合,M22を用いれば長尺ボルトとなる.これを避けるためには,太径ボルトを用いることが考えられる.本研究では,板厚50mmの鋼板を対象とした高力ボルト摩擦接合継手に太径ボルト(M36)および従来のボルト(M22)を用いた場合のリラクセーションとすべり耐力について,実験的に検討した.また,比較のために板厚19mmにM22ボルトを用いた標準的な高力ボルト摩擦継手試験体も試験に供した.そして,厚板の方がリラクセーションによるボルト軸力の低下は小さいこと,また,すべり耐力は太径ボルトと標準的な継手試験体を比較して特に低くなることはない,という結果を得た.
和文ノート
feedback
Top