抄録
ある鉄道鋼箱桁橋において発生した主桁ウェブの垂直補剛材下端回し溶接部付近の変状の原因を明らかにすることを目的として,1)レーザードップラー振動計を複数台用いた振動計測システムを構築し,2)垂直補剛材下端部に設置した補強材がある状態と一時的に撤去した状態の常時微動計測から局部振動モード形を同定し,さらに,3)局部応力と局部振動,列車速度との関係を詳細に計測および調査し,変状の主要因は台車の規則的な通過による主桁下フランジの局部的な振動であることを明らかにした.最後に,実測データを用いた簡易な解析モデルにより列車走行時の振動現象を説明し,局部振動に対する高速運転の影響を予測した.