2009 年 65 巻 1 号 p. 30-41
近年,カオス信号を入力とした構造物の応答からアトラクタを再構成し,その位相構造などの特徴量を損傷前後で比較することで診断を実施する方法が開発されている.本研究では,構造物の振動特性に応じたカオス信号を構造物に入力することで,その応答変位がカオス的挙動を呈することを確認する.さらに損傷前後で応答変位を比較したとき,損傷を有する層の応答変位に大きな違いが生じることを示すとともに,振動応答の定量評価手法として交差予測誤差率を導入し,損傷診断シミュレーションを通じて,提案手法の有用性を明らかにする.