本研究は,性能設計法の背景にある二つの概念,すなわち,性能規定型設計法と性能明示型設計法の相違点について言及したうえで,使用者と設計技術者との間にリスク分担原則を介在させることによって2つの性能設計法が合理的に調和できる構造安全性,すなわち目標信頼性指標を導出できることを示したものである.本論文では,まず,提案手法を簡便に行うために必要な瑕疵担保責任発生確率から目標信頼性指標を導出できる近似式を提案している.続いて,設計技術者側の総費用最小化原則に基づく目標信頼性指標の導出について砂防堰堤の剛体安定問題を例として検討している.