2010 年 66 巻 4 号 p. 816-835
コンクリート充填矩形断面鋼製橋脚は,鋼製補剛パネルとダイヤフラムに拘束された充填コンクリートによる補剛パネルの局部座屈防止効果とコンクリート自体の圧縮強度向上効果で,高い強度・変形能を有する.しかしながら,繰り返し荷重下の界面での相互作用は複雑で,数値計算の安定性を損なうため,精度の良い解析法は提示されていない.ここでは,充填コンクリートは損傷塑性理論を導入したソリッド要素と仮想ひび割れ(離散ひび割れ)でモデル化し,鋼脚に構成則として三曲面モデルを導入したシェル要素を用いた.そして,界面はコンタクトペアおよび接触バネ要素でモデル化しすることで,精度が良く,安定した解析法を提示した.さらに,本手法を用いて正方形断面充填鋼脚の強度・変形能の向上やき裂発生のメカニズムについて明らかにした.