2020 年 76 巻 1 号 p. 13-29
本研究は民芸運動ゆかりの民陶の里である小石原と小鹿田の訪問者が注目する景観表象とその評価を,写真撮影と意見の記録により調査した.これを両里の窯元とその家族の結果と比較して,主体間および場所間の異同を明らかにした.こうして伝統的2次産業による文化的景観の保全と活用のあり方を追究した.主な成果は以下のとおりである:1)近代的機械類を多く取り入れた小石原の場合,まちなみ景観の要素である道,サインおよび家屋は,扱うべき対象として合意が得られやすい.2)伝統的手仕事を数多く残す小鹿田では,作陶作業の表象の扱いに取り組むのが本質である.3)家屋,装飾および川は,場所の違いに関わらず,訪問者が注目しやすい景観表象である.4)小石原では宗教設備と花,小鹿田では人間を地元特有の表象として重視すべきである.