土木学会論文集D1(景観・デザイン)
Online ISSN : 2185-6524
ISSN-L : 2185-6524
76 巻 , 1 号
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和文論文
  • 栢原 佑輔, 林 倫子, 尾崎 平
    2020 年 76 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

     1987(昭和62)年から実施された京都鴨川の戦後の鴨川改修計画においては,背後地との調和,河川空間からの眺望景観保全などが設計内で考慮されており,その景観設計に対する評価も高い.本研究ではこの鴨川改修計画に着目し,その改修計画における景観設計の内容の変遷を明らかにした.その成果として,1) 鴨川改修協議会において検討案(1)~(4)が提示されており,検討案(1)から検討案(2)にかけての基本設計の変化が景観設計の転換点であったこと,2) その際「鴨川らしい景観」の具体化が行われ,視覚面・空間面のなじみ,調和を考慮した景観設計へと変遷したこと,3) この設計変更には,協議会における議論や設計者の自由な発想が大きく寄与していたこと,が明らかとなった.

  • 山下 三平, 丸谷 耕太, 林 珠乃, 大森 洋子
    2020 年 76 巻 1 号 p. 13-29
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究は民芸運動ゆかりの民陶の里である小石原と小鹿田の訪問者が注目する景観表象とその評価を,写真撮影と意見の記録により調査した.これを両里の窯元とその家族の結果と比較して,主体間および場所間の異同を明らかにした.こうして伝統的2次産業による文化的景観の保全と活用のあり方を追究した.主な成果は以下のとおりである:1)近代的機械類を多く取り入れた小石原の場合,まちなみ景観の要素である道,サインおよび家屋は,扱うべき対象として合意が得られやすい.2)伝統的手仕事を数多く残す小鹿田では,作陶作業の表象の扱いに取り組むのが本質である.3)家屋,装飾および川は,場所の違いに関わらず,訪問者が注目しやすい景観表象である.4)小石原では宗教設備と花,小鹿田では人間を地元特有の表象として重視すべきである.

  • 柴田 久, 齋藤 勝弘, 池田 隆太郎
    2020 年 76 巻 1 号 p. 30-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究では2008年から17年までの10年間に発表された景観研究論文を対象に,研究目的別の系譜図を作成した.さらに先行研究の成果を踏まえ,作成した系譜図に対する考察から,景観研究の動向と今後の課題について検討した.その結果,景観研究論文として484編が選出され,35の研究視点による目的別研究系譜図が導出された.さらにそれら系譜ごとの考察を行ったうえで,景観研究の動向と今後の課題として1)自然的・文化的風景を巡る保全論の再提起や,2)防災と景観を両立させる思想論・方法論の検討,3)質の向上を図る制度推進に有効なデザイン手法の提示について考察がなされた.

  • 谷川 陸, 山口 敬太, 川﨑 雅史
    2020 年 76 巻 1 号 p. 44-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,戦前期京都の風致地区内の許可・指導の事例から,三山の山裾部の開発における景観形成の実態を明らかにするとともに,用いられた具体的な技術的方策について明らかにするものである.本研究の結果,風致地区内の宅地造成では,眺望や土地の状況に応じて,積極的な風致増進を図る行政指導にともなう設計変更が行われ,無断施工でも可能な限りの修景が施されたことを明らかにした.許可申請書の内容分析から,12の景観形成・誘導の方策と5つの類型を見出し,昭和初期から,現行制度の許可基準に相当する,場合によってはより厳格な運用がなされていたことを示した.これらの方策を活用し,境界部の自然の連続性,樹間から見える屋根のつながり,自然素材の美を保全・創出し,周辺環境と調和した開発の誘導が図られたことを示した.

  • 五三 裕太, 福島 秀哉
    2020 年 76 巻 1 号 p. 59-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル 認証あり

     東日本大震災の復興では地域特性の計画反映が重視されたが,国の直轄調査や各市町村による住民意見の計画反映の取組みが復興事業プロセスへ与えた影響は明らかではない.本研究は東日本大震災復興土地区画整理事業岩手県19地区を対象に,復興事業プロセスと計画内容の変化の特徴の整理,および復興区画整理事業での実現上課題が想定されながらも,地域特性を反映している計画内容の実現過程の特徴の分析・考察をおこなった.その結果,都市計画決定または国・県管理の公共施設に関わる計画内容に対しては,復興計画策定段階の住民意見の反映と国の直轄調査における事業手法の検討が,市町村管理の公共施設に関わる計画内容に対しては,事業段階の住民参画の取組みが,それぞれ地域特性を反映した計画内容の実現過程に影響を与えた可能性を示唆した.

  • 福島 秀哉
    2020 年 76 巻 1 号 p. 74-93
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル 認証あり

     地域の社会と空間に関わる共同体的特徴や歴史的地域特性からみた現代の集落空間の特徴の把握と,公共事業や景観施策の各計画への反映は重要な課題である.本研究は近世集落から観光地へと発展し,現在も断片的・潜在的な歴史的地域特性が残る山中湖村山中区を対象に,地域社会と集落空間の変容過程とその歴史的特徴を明らかにし,計画論に反映可能な現代の集落空間の特徴として示すことを目的とする.近世から高度経済成長期までの環境,生業,地域社会,集落空間の関係の変化を,本拠領域の成立から衰退までの変化として記述した.また現代の集落空間の特徴として,集落中心部居住域における景観の時間的奥行き,歴史的施設の立地,伝統行事の継承,歴史的意味等の空間的特徴の重なりを指摘し,現在の諸計画に示されている地域特性との関係性を示した.

  • 大村 瑛太, 福島 秀哉
    2020 年 76 巻 1 号 p. 94-111
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,土木学会デザイン賞で「高次の合理性」「正統派の景観デザイン」といった評価により最優秀賞を受賞した内海ダム事業の評価の特徴と,それを体現したデザインや計画,マネジメント上の特徴との関係を明らかにすることを通して,土木デザイン評価の枠組みや優れた土木デザインの実現に向けた景観検討の役割等に関する議論の発展に寄与することを目的とするものである.成果として「上位計画・設計条件の調整」「新規性」「規範性」をはじめとする内海ダムの評価項目の特徴と,これらの評価と「堤体前盛土」「中尾根残置」等のデザイン上の特徴の関係を明らかにした.またこれらのデザイン上の特徴の実現に対する造成計画など事業早期の検討を含む継続的な景観検討の寄与,および造成計画と景観検討の一体的取り組みの重要性を指摘した.

  • 土田 栞, 佐々木 葉
    2020 年 76 巻 1 号 p. 112-122
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/20
    ジャーナル 認証あり

     地域景観の計画やマネジメントにおいて景観特性による面的まとまりを特定することは重要である.そのため本研究は市街地の空間構造上の位置付けの履歴に着目した景観特性把握手法を提示することを目的とした.その手法とは,地形図を資料としてSpace Syntaxによる道路ネットワーク分析から得られる空間的奥行きの指標であるInt.Vと土地利用とから,年代ごとの市街地の空間的奥行復元図を作成し,それを歴史的景観キャラクタライゼーションの手法による不変化分析をすることで市街地の空間的奥行の変化・不変化といった履歴を地図上で特定するものである.本手法を,城下町を起源として戦後急速な都市化を経た千葉県佐倉市の城下町地区に試行し,分析結果を実際の景観と比較し考察することで,景観特性把握手法としての可能性の示唆を得た.

  • 星野 裕司, 小林 一郎, 伊東 和彦
    2020 年 76 巻 1 号 p. 138-153
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/20
    ジャーナル 認証あり

     本稿は,平成18年7月に鹿児島県川内川流域を襲った災害に対する激特事業のうち,曽木の滝分水路の整備に関して,景観的な視点からの検討プロセスとその結果,および事業後の取り組みについて報告する.当整備の主な特徴は,激特事業に景観検討を導入したこと,検討方法に対する様々な工夫によって効率的で高質な検討が行えたこと,密なコミュニケーションによって多くの施工上の工夫を引き出せたこと,それらの結果として類を見ない空間を実現できたこと,加えて事業後にもその思想が継承されたことである.最後には当事業の成果を,市民,技術者,施工者との3つの協働として整理している.

和文報告
  • 保田 敬一, 山崎 元也
    2020 年 76 巻 1 号 p. 123-137
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/20
    ジャーナル 認証あり

     道路における景観を改善して供用後の道路走行時の快適性を向上させる取り組み事例が増加している.本研究では,維持管理段階で修景可能な道路構成要素を維持管理の視点から新たに抽出し,景観性評価との関係を数量化理論I類により分析することで道路修景メニューの充実を図ることを試みた.さらに,道路構成要素(道路線形,のり面・植栽の状態,樹木,道路付属物など)が評価区間内でどのように変化するかに着目した.これによりカテゴリ変化数が多くなれば評価が良くなるのか,悪くなるのかが整理できるようになる.評価区間内において同一アイテム内でのカテゴリ変化数を数量化理論I類により分析した.これらの情報は道路修景時における有用な資料となることが期待できる.

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