2021 年 77 巻 1 号 p. 81-98
東日本大震災の復興で重視された地域特性の計画反映に対し,国の直轄調査や各市町村による住民意見の計画反映の取組みが与えた影響は十分に明らかではない.本研究は東日本大震災復興土地区画整理事業宮城県39地区を対象に,復興事業プロセスでの計画内容の変化を整理し,全体の傾向を示した上で,それと異なる特徴を持つ事例に着目し,地域特性を反映した計画内容の実現過程の特徴の分析をおこなった.その結果,都市計画決定または国・県管理の公共施設に関わる計画内容に関しては国の直轄調査による検討および住民参画の取組み等を通じた住民・行政間の継続的な協議の場が,市町村管理の公共施設に関わる計画内容に関しては住民参画の取組みによる継続的な議論が,地域特性を反映した計画内容の実現過程に重要な役割を果たしていたことを指摘した.