2018年までに発表された河川景観研究論文及び土木研究所等で実施された河川景観研究資料241編を調査し,研究の動向を社会的背景及び河川行政施策との関わりに着目して整理したレビュー論文である.
日本の河川景観研究は,人の生活環境保全の観点から河川環境管理の重要性が認知された1970年代に,都市や人に望まれる河川像を考えることから始まり,河川環境の評価や目標設定手法の検討等に発展していった.河川景観は河相と人間活動の相互作用により形成され,時間的に変化するものと捉えられるようになり,治水対策と両立した定量的な目標設定の検討等が進められてきた.今後の研究の方向性として,人と川とのふれあいの場となる水辺空間整備等の施策を推進すべく,川毎に異なる河相や景観の変遷を踏まえたデザイン手法を確立すること等が求められる.
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