抄録
全水頭と流速を独立に補間するRaviart-Thomas混合補間法(RT)を用いた有限要素の三次元浸透流問題における基本性能に関する数値実験の結果を報告する.全水頭のみを未知数とする一般的な有限要素法では,流速を要素ごと独立に計算するため,精度良く連続な流速場が得られない場合がある.一方,RTでは,要素の面に定義したフラックスを自由度として流速の形状関数を構築するため,隣接要素間の共有境界でフラックスを連続にできる.また,ハイブリッド型変分原理で定式化することにより,最終変数をラグランジュ乗数のみに削減することが可能になる.既往の研究は,二次元問題での有用性を示すものがほとんどであるが,本論文では,欠点も含め,浸透流問題におけるRTの三次元要素の基本性能を明示する.