2014 年 70 巻 1 号 p. 10-21
本研究は,開口ひび割れを有する直方体モデルに対する3次元弾性波伝播解析の結果を基に,均質体表面に観察されるひび割れの深さを推定する方法を提案するものである.ここでは,石膏とコンクリートを理想的な均質体と想定した直方体供試体モデルの表面に様々な開口亀裂を設け,動弾性有限要素法(EFIT)によりリッカー波を入力して亀裂で散乱・回折する表面波の減衰の様子を調べた.その結果,減衰の大きさは表面波の波長とひび割れ深さの比に強く依存し,材料の違いには依らないことを見出し,その事実に基づいてひび割れ深さを推定する式を定式化した.さらに,それを基にして均質体表面に観察されるひび割れの深さを推定する手法を提案した.