土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
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和文論文
臨界浸透確率に基づく閾細孔径の抽出とコンクリート中の液状水移動の定量評価
酒井 雄也岸 利治
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2016 年 72 巻 2 号 p. 83-96

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抄録

 本論文はコンクリート中の液状水移動を定量評価する方法を検討したものである.パーコレーション理論に基づき,空隙率と臨界浸透確率の積が一定(16%)と仮定して閾細孔径を求めた結果,過去に提案した手法により得られた閾細孔径と対応した.得られた閾細孔径を用いて,コンクリートを液状水が貫通するまでの時間の実測値と理論値を比較した結果,屈曲度は6となった.また空隙率と臨界浸透確率の積が一定であれば,閾細孔径以上の空隙の体積率は自動的に一定となると考え,透水試験における透水量を,有効断面積を16%,屈曲度を6として計算した結果,計算値は実験値と対応した.一方,吸水試験の結果は有効断面積16%では過大評価する結果となった.原因として,液状水の浸潤中に気泡が巻き込まれた可能性を指摘した.

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© 2016 公益社団法人 土木学会
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