抄録
2013年8月の島根県西部豪雨を対象として,気象モデルWRF(Weather Research Forecasting)とデータ同化手法の一つであるLETKF(Local Ensemble Transform Kalman Filter)を組み合わせた数値解析を実施し,WRF-LETKFの有効性を検討した.また,数値解析結果を用いて豪雨の発生要因を考察した.その結果として,本数値解析が,降水量や豪雨の発生位置を正確に捉えることはできないが,降雨期間の後半における強雨域の移動をある程度再現することを示した.また,地点観測と比較した結果,降雨期間の後半において,アンサンブル平均雨量の方が決定論的計算雨量よりも観測結果に近い結果を算出することを確認した.今回の集中豪雨は,東シナ海から供給された水蒸気フラックスが前線付近で収束したことに起因するが,中国山地の地形の影響も受けたことが推測された.