抄録
大規模な地震災害時においては，社会基盤施設の損傷を完全に防ぐことは困難と考えられるため，被害に応じた適切な復旧戦略をとることが重要となる．本稿は，都道府県の緊急輸送道路網を想定した大規模な道路ネットワークの復旧順序の最適化手法として，並列遺伝的アルゴリズムを適用した．解空間が膨大である問題に対しては遺伝的アルゴリズムの個体数を増やした大規模探索を行う必要があることを述べ，大規模探索を可能とする並列遺伝的アルゴリズムを分割母集団モデルによって実装した．復旧順序の最適解が既知であるモデルネットワークへの適用から，アルゴリズムの有効性を検証し，山梨県の緊急輸送道路網のネットワークモデルを対象とした分析から，実道路ネットワークを想定した規模のモデルにおいて提案手法が機能しうることを確認した．
