抄録
計算機の性能の向上と数値解析法,乱流シミュレーション法の発達により,従来風洞実験あるいは現場観測などにより調べられていた橋梁の耐風特性が数値流体計算(CFD)にて予測できる可能性が出てきている.そこで,橋梁振動のうち,桁の振動に着目し,一般に使用可能な計算機環境で,桁モデル周りの流れ場と剛体と仮定する桁の振動運動の連成計算を行い,耐風設計への応用のための精度・信頼性を検証する.
本研究では,筆者らが開発してきた直交格子を基にしたLarge-Eddy Simulation (LES)手法を橋梁の耐風安定性評価に応用し,バネとダンパーで支持された2自由度運動する物体に固定された非慣性系座標で定式化した差分法を用い,一様風中の橋梁桁断面の空力特性予測に適用し,風洞試験結果との比較によりその有用性を示す.