抄録
地中の岩盤は,その生成過程や封圧を受けることによって生じる配向性のき裂による異方性を有し,その間隙は流体で飽和していることが知られている.異方性飽和多孔質弾性体は,この様な岩盤の性質を再現することのできる力学モデルであるが,この力学モデルに対する数値解析手法の開発例は数少ない.この様な背景を踏まえ,本研究は異方性飽和多孔質弾性体の3次元弾性波動問題に対する周波数領域境界要素法の開発を行った.境界要素法の開発に必要な基本解は,独自に導出し,解析に用いた.提案手法を用いて入射波による散乱解析を行い,入射波の違いによる散乱波動場の変化を確認した.また,異方性の影響により,伝播方向に依存して散乱波の波長が変化する様子を確認した.