抄録
超深度マントル掘削計画“M2Mモホール”は,日米欧が協同で実施している国際深海科学掘削計画(IODP)の最重要課題の一つであり,日本が擁する地球深部探査船「ちきゅう」の能力を最大限に発揮することのよってのみ実現可能な巨大科学計画である.日本が中心となって推進する“M2Mモホール計画”は,深さ6 kmを越える海洋地殻を貫通して,人類史上初めて直接マントル物質を回収し,モホの実態と対流するマントルのダイナミクスを理解するとともに,水の起源と全地球規模の炭素循環を解明し,地下生物圏の限界を探ることを目的としている.科学的要請と技術的制約にもとづいてハワイ北方沖,コスタリカ沖,バハカリフォルニア沖の3カ所に候補地を絞り,その中から最終的な掘削地点を決定するために地下構造探査の準備を進めつつある.