2015 年 71 巻 2 号 p. I_379-I_388
津波や河川の氾濫によって生じる漂流物による被害は数多く報告されており,その挙動を予測することは防災上重要である.本研究では,非圧縮性多相場の数値解析手法MICSに対して,漂流物と地表面の接触力を評価するため,地表面との衝突判定や地表面形状の設定に改良を加えた.また,並列計算を行う際に計算機メモリを有効に活用するため,漂流物に関する情報を,全プロセスが共有するものと漂流物の移動時に通信するものに分割した.この手法を用いた数値実験を行い,構造物に対する流体力の算定や,津波防止工の有無による多数の漂流物輸送の計算を行った.本研究によって,多数の漂流物と衝突を伴いながら輸送される状況を計算できることが示された.また本計算の並列化によって計算効率が向上することが確認された.