抄録
実物大矩形型貯水槽耐震性能向上に関して実験的検討を行った.スロッシング波高抑制対策として有効なフィルター設置の既設槽への適用を可能とするため,スロッシング波高抑制に及ぼすフィルターの設置形態・位置の影響について検討した.模型槽および3000, 2000 mmの立方体実貯水槽を用いて振動実験を行い,最大波高を測定した.
その結果,模型槽で得られたスロッシング波高を低減する手法は,実貯水槽においても有効であることが確認され,フィルターの枚数に応じて最適な設置位置を明確にした.本方式はスロッシングのような長周期地震動に対しては波高・動水圧の抑制対策としては有効であったが,短周期地震動でのバルジング現象に対する動水圧の抑制は困難であった.