抄録
時間的に変動する(動的)浸透流の多孔質領域内挙動は,主として最大振幅時の静的パラメータにより評価されてきたが,実地盤には地中空洞が内在し,様々な周波数成分が浸透流に含まれる.本研究では多孔質領域内に流体領域が存在する状況での浸透流周波数の違いによる影響を,数値計算により明らかにした.計算手法はDarcy-Brinkman式を用いた有限体積法を採用し,流体領域と多孔質領域境界のBeavers-Joseph条件を考慮した計算を実施した.計算の結果周波数上昇に伴い,流速や圧力勾配振幅が減少することが示された一方,広い範囲で水圧が高い状態となるため,高周波成分の影響を考慮する必要性が示された.さらに減少率に関して多孔質領域内への一次元浸透流により理論解を導出し,動的影響の評価指標として提案した.