土木学会論文集A2(応用力学)
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応用力学論文集Vol.18(特集)
熱可塑性樹脂の発熱現象を考慮した粘弾性・粘塑性複合構成則
松原 成志朗寺田 賢二郎
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_509-I_520

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抄録
ガラス状態における熱可塑性樹脂は,微小変形域で粘弾性的に振舞い,分子鎖の摩擦抵抗に起因する粘塑性による擬似的な降伏挙動を経て,大変形域では粘塑性流れ方向に分子鎖が配向することが原因となる配向硬化現象を示す.さらに,粘弾性特性として持続変形下では応力緩和現象を示し,完全除荷後では変形の戻りを示す.このような材料挙動を表現するために,本研究では粘弾性と粘塑性の複合構成則を提案する.また,大変形域に特徴的な配向硬化現象は粘塑性変形に陽に依存するゴム弾性理論に類似の背応力を設定することによってそれを定量的に評価することを目指す。さらに,熱可塑性樹脂は温度依存性が非常に強いため,力学作用に対する材料自身の自己発熱現象を熱力学的定式化による材料モデルの構築によって同時に定式化する.このとき,弾性変形による散逸が生じない超弾性構成則に基づく理論展開を行うことで定量的に評価が可能な発熱量の算出を行い,高分子材料特有の大変形能に対応させる.本提案モデルの性能や特徴は,いくつかの数値解析例を通して検証する.
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© 2015 公益社団法人 土木学会
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