土木学会論文集A2(応用力学)
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ISSN-L : 2185-4661
応用力学論文集Vol.18(特集)
空気~水~土骨格連成有限変形解析による大規模河川堤防の浸透・地震時挙動の評価
吉川 高広野田 利弘加藤 健太小高 猛司李 圭太高稲 敏浩
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_621-I_632

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抄録

本論文では,空気~水~土骨格連成有限変形解析コードを用いて,実在する砂質土・粘性土互層地盤上の大規模河川堤防の浸透・地震時挙動の評価を行った.まず,河川水位の差に注目した浸透と地震の複合時の解析を実施し,河川水位が高いほど堤内地への被害が大きくなることを示した.次に,基礎地盤の砂質土層が礫質土相当の透水性を有する場合を想定して,非定常浸透と地震時の応答を解析した.非定常浸透時には,砂質土層上部に難透水性の粘性土層があるために,河川から砂質土層に大量の水が供給されて,河川水位上昇後8時間経過時点からパイピング破壊に繋がり得るヒービングが発生することを示した.地震時には,礫質土相当の透水性であれば地震中に間隙水の移動が十分に生じて,難透水性の粘性土層で覆われた礫質土層上部に集水するため,礫質土相当の透水性であっても液状化が生じることを示した.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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