抄録
静水中を多数の砂粒子が一様に沈降する系に対する粒子形状の影響を2次元数値実験によって検討した.粒子径を約1mm,形状を楕円とし,体積を保ちつつアスペクト比αを1:0; 1:5; 2:0と変化させた.比較のため,単一の粒子が沈降する場合も併せて検討した.数値実験結果からは粒子形状の影響は沈降開始直後の過渡状態においても最終沈降状態においても,そして単一粒子の場合にも多数の粒子が一様に沈降する系においても,観察された.沈降開始直後には,α=1の真円粒子はその重心周りの回転に対する形状不変性のため,楕円粒子と比べて非常に高速で特異な沈降挙動を示す.また,終末沈降速度utはアスペクト比αが増すと低下すること,多数の粒子が一様に沈降する場合のuaの集団平均値は単一粒子と比べてやや低下することも明らかになった.