抄録
本研究は,水制がある場での流れと魚の遊泳行動を明確にすることを目的とし,実験を行った.
流速,渦度に着目した結果,1)水刎ねによる蛇行流れ,2)水制下流側での10(cm/s)以下の流速,が形成され,3)河床の洗掘,堆積箇所と渦度の関連性は低い,という結果を得た.
また,魚は,20(cm/s)以下の流速および渦度の比較的大きい水制下流側に定位した.一方で,魚は,30~50(cm/s)程度の流速および渦度が小さい箇所で遡上した.そのため,魚の遊泳行動は渦度に関連性があると考えられる.
数値解析では,水制によって水刎ねされた蛇行流れおよび渦度の形成は概ね再現できたが,その大きさを再現することができなかったため,水制周辺の詳細な水理条件を考慮した運動方程式の提案を行い,再現精度の向上に努める必要がある.