土木学会論文集A2(応用力学)
Online ISSN : 2185-4661
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応用力学論文集Vol.18(特集)
部分的に緊張力を与えた当て板接着鋼板のはく離曲げモーメント
清水 優石川 敏之服部 篤史河野 広隆
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_849-I_857

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抄録

経年劣化や設計荷重の変更によって耐荷力が不足した鋼部材に対して,当て板を接着して補強する方法が行われ始めている.さらに,施工事例は少ないが,緊張力を与えた当て板を鋼部材に接着することで鋼部材にプレストレスを導入する方法が一部で用いられている.一方,当て板に緊張力を与えて接着する場合には,緊張力の解放時に接着剤にせん断応力や垂直応力が作用するため,小さな荷重で当て板がはく離してしまう可能性がある.当て板に緊張力を与えて接着する際のはく離荷重を向上するため,当て板端部に非緊張部を設ける方法が提案されている.本研究では,当て板の端部を除く範囲に緊張力を与えられる装置を用いて当て板に部分的に緊張力を与え,プレストレス導入量やはく離荷重を検証した.その結果,当て板端部に非緊張部を設けた場合であっても,当て板接着中央部では当て板全体を緊張したときと同等のプレストレスが導入されることがわかった.また,非緊張部を設けた試験体と当て板全体を緊張した試験体では,非緊張部を設けた方がはく離荷重が大きくなった.さらに,接着剤に生じる主応力を用いてはく離荷重の向上効果を定量的に評価した.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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