抄録
本研究の目的は,ラーニング・ストーリーを援用することで,小学校教師の「学びに向かう力」の見取りの特徴がどのように変容するかを考察し,幼児教育から小学校教育への評価の接続の可能性を明らかにすることであった。そのため,幼稚園教師と小学校教師を対象に見取りの特徴についての質問紙とインタビュー調査を行った。その後,両者の結果を比較し小学校教師の見取りの特徴を分析した。次に,ラーニング・ストーリーの援用を学ぶ学習会を実施し,生活科の授業の実践後に同様の方法で調査を行い,学習会前後の結果を比較し見取りの変容を分析した。その結果,小学校教師の子ども理解の見方を多様にし,肯定的に見つめようとする子ども観に変容させたとともに,形成的なアセスメントにも影響を与えた。加えて,幼稚園教師と小学校教師の「学びに向かう力」の見取りの特徴に共通性を見いだし,幼小の教師の子ども観や評価の接続への有効性を明らかにした。