抄録
堰を越流して落下した水流により14,400個の礫群が運動し,ある堆積形状となる過程の数値計算を行った.計算では,3次元固気液多相場の解法(MICS)を利用し,礫群の運動と越流水の力学的な相互作用を考慮した並列計算を行った.1個の礫を121個の四面体要素で表し,気液相の運動方程式から得られた圧力項と粘性項を利用して礫に働く流体力を求める.礫どうしの接触力は,礫モデル内部に任意に配置した接触判定球を用いて,DEMにより算出する.224並列処理により,逐次計算に対して約50倍の計算速度となった.計算結果から,堰を越流した水流により礫が巻き上げられる挙動が再現され,越流停止後は礫群は洗掘された配置となった.越流量を増加させると,最大洗掘深および洗掘範囲が増加するという既往実験と同様の傾向が得られた.