抄録
鋼構造物の長寿命化対策の一つとして,疲労き裂発生が懸念される箇所へのピーニング処理技術の開発が進められている.本処理技術の中に,高強度かつ短波長のレーザーを部材表面に照射し,プラズマ発生時の衝撃波を利用するレーザーピーニング(LP)技術が存在する.しかし,そのプロセスは超高ひずみ速度下の現象を活用する手法であり,プロセス中に生じる諸現象の計測が困難なことなどから,残留応力導入や表面変形のメカニズム,さらには最適施工条件等について,不明な点が多く残されている.本研究では,施工中にレーザー閉じ込め媒質が必要とされるナノ秒LPおよび閉じ込め媒質が不要なフェムト秒LPについて,材料特性のひずみ速度および温度依存特性を考慮した数値シミュレーションを実施し,残留応力,材料硬化および表面変形に関する諸特性の比較を行うことにより,両LPプロセス技術の特徴について明らかにする.