2016 年 72 巻 2 号 p. I_367-I_378
非比例負荷を受ける材料の非弾性変形挙動の予測精度を向上する目的で,塑性ポテンシャル面接線方向の応力速度により生じる非弾性ひずみ速度を表現する接線塑性弾塑性構成式が提案されている.しかしながらこれまでの接線塑性弾塑性構成式の定式化では,一般に高サイクル金属疲労となる降伏応力以下の一定応力振幅下における非比例繰返し負荷サイクルの増大に伴う非弾性ひずみ速度の増加,いわゆる繰返し軟化挙動を表現し得ない.そこで本論では,金属材料を対象として,非比例繰返し負荷条件下で発現する繰返し軟化挙動の表現を目的に,接線塑性弾塑性構成式を拡張した.本構成式を用いた非比例円形繰返し負荷条件下の数値解析を実施し,従来の弾塑性構成式による数値解析結果と比較することで,拡張した接線塑性弾塑性構成式の応答特性を詳細に把握した.