抄録
高濃度土砂流は浮遊状態で大量のシルトや粘土を含むことから非ニュートン流体特性を示すが,高濃度土砂が十分に発達した開水路粗面乱流に与える影響については十分明らかにされていない.本研究では,二次元角柱粗度を有する開水路流れにおいて高濃度土砂が流れの抵抗およびエネルギー収支に与える影響を実験的に検討した.実験結果から角柱粗度おいて土砂流は清水流に較べて体積土砂濃度がCV <8.5%では抵抗が小さく,逆にCV >8.5%では抵抗が大きくなる.その原因として体積土砂濃度がCV <8.5%では乱れエネルギーの生成項の減少,CV >8.5%では直接的粘性散逸の増大が挙げられた.なお,実験では高濃度土砂流と類似の粘性特性を有するポリアクリル酸ソーダ(PSA)溶液を用い,流速の計測に粒子画像流速計測法(PIV)を適用して,流れ場を清水流との比較を通して詳細に検討した.