抄録
構造物の安全な供用や,的確な維持管理戦略の策定のためには損傷を適切に評価する必要がある.そこで本研究では,振動時の加速度計測結果を教師あり機械学習の一種であるRandom Forestによる枠組みで解釈することで,損傷を自動判定する仕組みを提案する.振動をもとに損傷度を調べるような取り組みは多くあるが,必ずしもその精度は十分ではなく,実用化に至っているとは言い難い.そこで本研究では固有振動数以外にも対数減衰率や応答加速度の最大値,標準偏差にも着目し,情報量を増やして精度を上げることを試みた.また計測点についても7点と,綿密に構造物の異常を計測できるような多点計測とした.Random Forestはそのような情報の増加にも耐えうる手法であり,実際に交差検証や供試体の振動試験結果をもとに精度を検証した結果,高い精度であることを確認した.