2017 年 73 巻 2 号 p. I_363-I_375
拡張下負荷面モデルは繰返し塑性挙動を精緻に表現できる弾塑性モデルである.拡張下負荷面モデルでは,降伏状態からの除荷過程では下負荷面が点に縮退し,その後,逆負荷や再負荷に伴って下負荷面が拡大する.そのため,増分ステップ内で除荷を経て逆負荷が生じる場合には,一般的な弾性予測子に基づく負荷判定法では適切な判定ができないため,応力計算の精度が低下する問題点が指摘されていた.そこで本研究では,改良した負荷判定法を提案する.さらに,下負荷面が除荷過程で点に縮退する弾性プロセスをサブステップにより取り扱うリターンマッピングを導入し,除荷から逆負荷へ至る過程でも高い精度で応力計算が可能となった.