抄録
本研究では,切欠き堰を越流して落下する水流により,堰下流側に平滑に敷き詰められた平均粒径約7 mm,個数約16,700の礫群が輸送され,洗掘・堆積する過程の数値計算を行い,実験結果と比較した.数値計算では,代表的な26種類の礫形状を抽出し,それらを四面体要素で表現し,礫間の接触を扱える礫モデルを用いた.また,礫に作用する流体力は,多相場の運動方程式の圧力項と粘性項の体積積分から求め,礫の運動量を多相場に反映させることで礫と流体の力学連成を考慮する.最初に,水中で直方体状に初期配置された礫群を崩壊させる実験と数値計算を行い,本研究の礫モデルが有効であることを確認した.次に,越流水による礫群輸送の計算を行い,礫群の洗掘・堆積形状などを計測結果と定量的に比較し,数値解法の適用性を考察した.