2017 年 73 巻 2 号 p. I_545-I_552
河口部周辺における海浜の侵食問題は国の内外を問わず大きな課題である.そこで,本論文においては,(1) 河川流出土砂の増減,ならびに(2) 河口開口部の移動による河口デルタ地形の変化について解析的な検討を行った.解はワンラインモデルを基本とし,無限長の砂浜を対象とする基本解の線形重ね合わせにより二つの条件に対する解析解を導いた.これにより,河口デルタの侵食・回復過程を容易に予測することが可能となった.また,一般に砂浜端部には岬や人口構造物などの端部境界が存在することから,(1)のケースについて,すでに著者らにより得られている有限長砂浜でのデルタ発達過程に対する解の重ね合わせにより,デルタ変形過程に関する解を得た.侵食波の端部への到達以降,先述の無限域での解と比べて大きな差異を示すことが判明した.