抄録
自由噴流は周囲流体を連行しながら成長していく特性上,側方から流体が流入できるような開境界を要求するが,噴出面を除いたすべてを開境界にすることは,数値不安定を起こしやすく,数値流体力学において好ましくない.自由噴流の側方境界に決定的な方法がなく,安定的に計算するために様々な工夫がなされている.本研究は半無限静止空間に放出される自由噴流の側方境界条件をいくつか検討し,それぞれの長所と短所を層流の二次元自由噴流の計算で明らかにした.また,Traction-Free条件の短所を克服するために,直応力のみをゼロとするSimplified Traction-Free条件を提案して,二次元と三次元の層流と乱流で自由噴流の連行を損なわずに計算できたことを確認した.この条件は開境界でありながら比較的高い数値安定性を有し,OpenFOAMなどのソフトウェアへの実装も極めて簡単である.