2017 年 73 巻 2 号 p. I_607-I_618
河川管理においては植生に起因する流水抵抗を精度良く推定することが重要である.近年,航空レーザー測深(ALB: Airborne Laser Bathymetry)技術が発達し,長い河川区間においても水面下を含む河道内の平面地形および植生高を高解像度で計測できるようになってきた.一般に,河川に繁茂する植生による流水抵抗はその植生種に依存するため,対象河川の植生種の空間分布を容易に把握できれば,洪水流解析の精度向上が期待できる.そこで,本研究では,旭川下流河道を対象として,ALB計測により得られる点群データを用いて植生種(草本類,木本類および竹林)を決定する方法を検討した.また,その結果を用いて流水抵抗に関する植生情報を得た.その後,植生情報を使った洪水シミュレーション結果と観測結果を比較して,提案した手法の妥当性を検討した.その結果,既往の植生種データを用いた解析結果よりも本研究で得られた植生種データを用いた解析結果の方が観測結果を良好に再現できることがわかった.