2017 年 73 巻 2 号 p. I_73-I_84
岩石に内在する結晶構造の不規則性は,サイズの累積度数がベキ乗則に従うことで知られている.本論文は,この分布特性を規定するベキ乗指数を推定するための方法論を考究する第一歩として,花崗岩供試体中を透過する超音波波動を計測し,透過した波動の位相が有している特異な確率特性を明確にする.透過波のフーリエ位相を線形遅れ部とそこからの変動に分解し,位相変動部の位相差分の分散特性が,離散円振動数間隔のベキ関数で表現されることを明らかにする.さらに,差分間隔の異なる位相差分をその標準偏差で標準化した変数の確率密度関数がレヴィフライト(Levy-flight)分布で表現できることを示し,レヴィフライト分布を規定する指標値を同定する.さらに,群遅延時間と位相の2階導関数の確率特性についても考究する.