抄録
本研究では,透水係数分布の相関長が異なる3種類の不均質浸透場を地球統計学的に生成し,色素水溶液を用いた中規模溶質輸送実験を実施した.可視化した時系列の色素分布に対して画像解析と空間モーメント法により地下水流れ方向(縦方向)と鉛直方向(横方向)のマクロ分散性を時系列で推定した.その結果,相関長に対するマクロ縦分散長とマクロ横分散長の依存性・非依存性が実験的に示された.また,本実験スケールではマクロ縦分散長と相関長の比の変動は3種類の不均質浸透場で一致する結果を得た.さらには,ランダムウォーク粒子追跡法にて溶質輸送状態を再現するとともに,色素水溶液の分布領域の透水係数を画像抽出することで見かけの不均質度を導入し,局所的に輸送する色素分布のマクロ分散性と見かけの不均質度の関係を求めた.