抄録
流体運動に完全追従するラグランジュ粒子や十分に重い慣性粒子について,乱流中の粒子衝突特性を調べた例は多く存在する反面,粒子比重の影響を調べた例は存在しない.本研究は,比重が一様等方乱流中の微小粒子のクラスタ形成に及ぼす影響を検討した先行研究(土木学会論文集A2, 72(2), I_459, 2016)の発展とみなせ,比重が1.005から1000の範囲内で粒子の衝突特性を調べた.流体中の粒子挙動は,Basset履歴項を無視したMaxey-Riley方程式によって表現した.比重の増加とともに粒子衝突頻度は大幅に高まること,その主要因はクラスタ形成に伴う粒子数密度の局所・瞬間的な高まりにあることが示された.粒子衝突頻度を相対接近速度と動径方向分布関数で推定するモデルの妥当性も評価し,このモデルは粒子衝突頻度を非常に良好に予測できることが示された.