2018 年 74 巻 2 号 p. I_421-I_429
近年,竜巻が増加傾向にあり,竜巻によって巻き上げられた物体が原子力発電施設などの重要施設に衝突することで生じる被害が懸念されている.鋼製の平板が低速度の衝突作用を受けると,鋼板が衝突エネルギーを吸収することにより延性的な破壊を示すと考えられる.しかし,竜巻飛来物の最大衝突速度は約60m/sであり,この速度に対する鋼板の貫通性能を評価した事例は少ない.本研究は,SS400鋼板の貫通破壊を対象として,基礎的な実験および数値解析を行ったものである.実験の結果,質量4.3kgの飛翔体が速度約57m/sで板厚6mm~9mmの鋼板に衝突した場合,飛翔体の直径と同等の直径を有する貫通孔が発生することがわかった.また,実験に対する数値解析を行い,貫通破壊の再現性や貫通破壊の特徴に関する検討を行った.