日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
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臨床研究
脾摘術を施行しインターフェロンを導入したC型肝硬変7症例の検討
田尻 和人河合 健吾時光 善温安村 敏峯村 正実高原 照美杉山 敏郎長田 拓哉塚田 一博
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2012 年 18 巻 1 号 p. 40-44

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抄録
今回我々は脾臓摘出術(脾摘)を施行しインターフェロン(IFN)を導入した1型高ウイルス量のC型肝硬変の7症例をretrospectiveに解析した.脾摘はおおむね安全に施行でき,全例で血小板数の改善が得られ,リバビリン併用のIFN療法が導入可能であった.しかし,IFN療法の効果はSVRが16.6%と満足の得られるものではなく,肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma,HCC)発症によるIFN治療中止例が33.3%,無効例が33.3%にみられた.IFN療法を目指した脾摘を考慮する際には,HCCの十分なサーベイランスと,IL28b SNPs解析などのIFN治療効果予測が必要であると考えられた.また,好中球減少の脾摘による改善効果は,肝疾患が進行しているほど限定的である可能性があり,IFN療法の際に注意が必要であると考えられた.
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© 2012 日本門脈圧亢進症学会
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