抄録
本論文では,標準ダイヤ,ランカーブ,実乗車率,車両種別等の鉄道運行情報ビッグデータを活用した,列車運行シミュレーションに基づく構造物の時間依存疲労強度の評価手法を構築した.新幹線実線区の構造物に開発手法を適用した結果,上下線の列車が一部でも交差する複線同時載荷確率は,駅部付近で5%,中間部で0.2∼1%程度であり,到着時刻が一致する完全複線載荷の発生確率は駅部付近で0.5%,中間部で0.02∼0.1%程度であること,複線載荷の発生確率が高い位置の構造物において,複線載荷特有の高い応力振幅の発生確率は最大で全編成の0.5%程度であるものの,疲労強度への影響を表す等価繰返回数に占める割合は20%程度となる場合があることを明らかにした.対象橋梁のPC鋼材の時間依存疲労強度を試算し,提案手法により100年以上の長期にわたる疲労強度の低下を評価可能であることを示した.